目録情報の基準


[目次]
[前ページ] 11.2 外字の扱い
[次ページ] 付録1 「JIS X 0208」の包摂規準を適用する漢字

11.3 ヨミの表記及び分かち書き規則

11.3.1 目的

 この規則は,分かち書きされたヨミから検索用インデクスを作成し,オンライン検索を可能にすることを目的とする。

 したがって,対象となるフィールド全体について記述自体から検索用インデクスを作成することが可能な場合には,ヨミはなくてもよい。

(例)「PC-9801 E/F/M Interface」というタイトルにおいては,「PC」「9801」「E」「F」「M」及び「INTERFACE」という検索用インデクスが作成されるので,ヨミはなくても検索は可能である。
(例)「PC-9801マシン語入門」というタイトルからは,「マシン語」「入門」等の漢字わかちされた検索用インデクスおよび「マシンゴ」「ニュウモン」等のインデクスは,「PC-9801 マシンゴ ニュウモン」と分かち書きしたヨミを入力することによって作成されるので,このような場合はヨミを表記する必要がある。

  AACR2を適用する資料における並列タイトル,その他のタイトル等でも,ヨミを表記することによって,日本語読みによるオンライン検索が可能となる。

(例)「Tanka, haiku, renga = 短歌, 俳句, 連歌∥Tanka, haiku, renga = タンカ, ハイク, レンガ」とヨミを表記することによって,「タンカ」「ハイク」「レンガ」からの検索が可能となる。
(「短歌,俳句,連歌」が並列タイトル,「タンカ,ハイク,レンガ」が並列タイトルのヨミ)

 中国語資料については,ピンイン表記を「その他のヨミ」として記録することができる。

(例)中国文学发展史||チュウゴク ブンガク ハッテンシ||zhong guo wen xue fa zhan shi
(「zhong guo wen xue fa zhan shi」がその他のヨミ)

 また,各参加組織においては,分かち書きされたヨミによって記入の語順排列を行ったり,分かち書きを無視して記入の字順排列を行うことが可能となる。

 ヨミ及びその他のヨミを表記することが可能なフィールドは,次のとおりである。

1.書誌レコード
2.典拠レコード

11.3.2 ヨミの表記

1.ヨミには,目録システム用文字セット中の,漢字を除く全ての文字種を使用することができる。
2.漢字,ひらがな,カタカナ及び踊り字(々,ゝ,ゞ等の繰り返し符号)によって表示された日本語及び中国語には,原則として,カタカナでヨミをふる。
(a)カタカナのヨミは,NCR1987年版の第II部「標目」付則1「片かな表記法」に準じ,語の発音に従って表記する。
ただし,振りがなのある語は,振りがなをヨミとする。 また,ひらがな,又はカタカナで表示された外来語・外国語・擬似外国語は,表示されているとおりを,ひらがなはカタカナに換えて,ヨミとする。
(例)

てふてふチョウチョウ
字を書くジ オ カク
磯づりイソズリ
佐々木ササキ
ほゞホボ
山人の賦ヤモウド ノ ウタ
シェクスピア物語シェクスピア モノガタリ
シェークスピア全集シェークスピア ゼンシュウ
バレエバレエ
バレーバレー
テクノロジィテクノロジィ
ウインチウインチ
アンシャンレジームアンシャン レジーム
ないたあナイタア

(b)発音を二つ以上持つ語は,権威ある国語辞書,人名辞典等によって,ヨミの統一を図るものとする。ただし,TRフィールドに採用しなかったヨミも広く一般に使用されていると考えられるものについては,いずれのヨミからもアクセスできるよう,異なるヨミをVTフィールドに記録することが望ましい。
(例)

日本ニホン
日本永代蔵ニッポン エイタイグラ
研究所ケンキュウジョ
ワタクシ
数学科スウガクカ
医学界イガクカイ
英文学科エイブン ガッカ
施行シコウ
便覧ベンラン
読本トクホン
京洛キョウラク

(c)漢数字は,日本語として不自然でない場合,原則として,次のように読む。
(例)

一 イチ六 ロク百 ヒャク
二 ニ七 シチ千 セン
三 サン八 ハチ万 マン
四 シ九 ク億 オク
五 ゴ十 ジュウ兆 チョウ

ただし,次のような例外がある。
  • 一,八,十に,カ行,サ行,タ行,又はパ行の音が続くとき及び,六,百にカ行,又はパ行の音が続くときは,促音化する。
    (例)

    八方美人ハッポウビジン
    三十六計サンジュウロッケイ

  • 人,つ,日,等の助数詞がついたときは,慣用に従って,和語読みをする。
    (例)

    二人フタリ
    七つナナツ
    二十四時間ニジュウヨジカン
    二百十日ニヒャクトオカ

  • 普通名詞,固有名詞中に含まれるときは,その語の発音に従う。
    (例)

    八百屋ヤオヤ
    九州キュウシュウ

  • 回次,年次,日付,順序付を表す漢数字は,対応するアラビア数字をヨミとする。
    (例)

    第二百十回ダイ210カイ
    昭和六十年度ショウワ 60ネンド
    第二編ダイ2ヘン

(d)漢字で表された外国の地名,人名及び団体名等は,次のように読む。
  • 原語に近い慣用音による。
    (例)

    倫敦ロンドン
    伯林ベルリン
    那波烈翁ナポレオン
    上海シャンハイ
    桑港サンフランシスコ
    香港ホンコン
    メートル
    センチメートル

  • 日本名として扱うときは,音読みとする。
    (例)

    則天武后ソクテン ブコウ
    郭沫若カク マツジャク
    毛沢東モウ タクトウ
    金日成キン ニッセイ

(e)ひらがな又はカタカナで表された外国の地名,人名及び団体名等は,表示されているとおりを,ひらがなはカタカナに換えて,ヨミとする。
(例)

あめりかアメリカ
ソビエト連邦ソビエト レンポウ
シェークスピアシェークスピア
W. M. ヴント W. M. ヴント

3.ラテン文字,アラビア数字,ギリシャ文字,ロシア文字及び記号等,上記2に規定した文字以外の文字・記号については,原則として,表示されているとおりをヨミとする。(読むときの発音には従わない)
ただし,回次,年次,日付及び順序付を表すローマ数字は,対応するアラビア数字をヨミとする。
発音に従うヨミを必要とするときは,書誌レコードにおいてはVTフィールド(その他のタイトル)に,典拠レコードにおいてはSFフィールド(から見よ参照)に記録する。
その場合の表記法は,NCR1965年版の付録5「かな表記法」3及びNCR1987年版改訂版の標目付則1.3に従う。
(例)

R&Dレポート R&D レポート
Logo Logo
T. S. エリオット T. S. エリオット
(cf. 読むとき:ティーエスエリオット)
PC-9801 PC-9801
(cf. 読むとき:ピーシー クハチマルイチ)
超LSIチョウ LSI
Fortran Fortran
(cf. 読むとき:フォートラン)
dBASEII dBASEII
PL/I PL/I
(cf. 読むとき:ピーエル ワン)
第XV回ダイ15カイ
200の用語 200 ノ ヨウゴ
E+F E+F
入門CP・Mニュウモン CP・M
NHKブックス NHK ブックス
(cf. 読むとき:エヌエイチケイ  ブックス)
第5世代ダイ5セダイ
2001年 2001ネン
100% 100%
User's guide User's guide
19世紀 19セイキ
13C NMR 13C NMR
セオリーZセオリー Z
3次元グラフィックス 3ジゲン グラフィックス
0歳 0サイ
X線結晶解析 Xセン ケッショウ カイセキ
1万分の1 1マンブン ノ 1
100億光年 100オク コウネン

11.3.3 分かち書き

1.日本図書館研究会『目録編成規則』第2章「ワカチガキ」に準じ,原則として,単語をもって分かち書きの単位とする(この資料は同研究会により,平成9年4月発行の「図書館資料の目録と分類 増訂版」に再録)。 成語,あるいは文節をもって分かち書きの単位とはしない。
(例)

農業経済ノウギョウ ケイザイ
(成語の「ノウギョウケイザイ」1単位とはしない)
愛児の病気と育て方アイジ ノ ビョウキ ト ソダテカタ
(文節をもって「アイジノ ビョウキト ソダテカタ」の3単位とはしない)

2.名詞・連体詞・副詞・接続詞・感動詞は,原則として,1単語を1単位とする。
(例)
  • 助詞:体言のあとにくる助詞は,原則として分離する。

    にんじんの作り方ニンジン ノ ツクリカタ
    太陽系と宇宙タイヨウケイ ト ウチュウ

  • 接頭語:接頭語は,原則として分離せず,その冠せられている語とあわせて全体を一語とする。

    新加工技術読本シンカコウ ギジュツ トクホン
    花の病害虫と新防除ハナ ノ ビョウガイチュウ ト シンボウジョ
    超技術社会への展開チョウギジュツ シャカイ エノ テンカイ
    超超高圧送電チョウチョウコウアツ ソウデン
    小電流サイリスタショウデンリュウ サイリスタ
    果樹園芸大辞典カジュ エンゲイ ダイジテン
    大地震図譜ダイジシン ズフ
    半自動アーク溶接作業ハンジドウ アーク  ヨウセツ サギョウ
    非鉄金属ヒテツ キンゾク
    不規則信号フキソク シンゴウ

  • 分離する接頭語:接頭語であっても,書名の冒頭にあって,接頭語を除く残りの部分全体にかかるものは分離する。

    新数学双書シン スウガク ソウショ

  • 接尾語:接尾語は原則として分離せず,その前にある語とあわせて全体を一語とする。

    ロシア語辞典ロシアゴ ジテン
    世界探検史セカイ タンケンシ
    電気-油圧式シーケンス制御デンキ-ユアツシキ シーケンス セイギョ
    総合調査報告書ソウゴウ チョウサ ホウコクショ
    導電性ポリマードウデンセイ ポリマー
    脂肪族イオン反応シボウゾク イオン ハンノウ
    統計的推測トウケイテキ スイソク
    土木構造物防災ドボク コウゾウブツ ボウサイ
    原子団別有機化学反応ゲンシダンベツ ユウキ カガク ハンノウ
    物理化学実験法ブツリ カガク ジッケンホウ
    集積回路網シュウセキ カイロモウ
    制御用電子計算機セイギョヨウ デンシ ケイサンキ
    応用物性論オウヨウ ブッセイロン
    数学的理論スウガクテキ リロン

  • 分離する接尾語:接尾語であっても,書名の末尾にあって,接尾語を除く部分全体を受けるものは分離する。

    栄養価順位表エイヨウカ ジュンイ ヒョウ
    日本産蜻蛉分布表ニホンサン トンボ ブンプ ヒョウ
    大工さしがね術ダイク サシガネ ジュツ
    屋内配線図オクナイ ハイセン ズ

  • 分離する接尾語:接尾語であっても,「たち」が名詞を受けるものは分離する。

    子供たちコドモ タチ

  • 複合語:訓読するものは,原則として一語とする。

    酒づくり談義サケズクリ ダンギ
    錦鯉ニシキゴイ

  • 複合語:漢字3字から成り,音読するもので,一部音読,一部訓読するものは,原則として一語とする。ただし,例のように一語として熟していないものは分離する。

    水処理ミズ ショリ

  • 複合語:漢字3字から成り,音読するもので,第1字が,それだけで一個の名詞的概念を表し,独立性をもつときは,それを分離する。

    熱力学ネツ リキガク
    熱機関ネツ キカン
    熱処理ネツ ショリ
    膜構造マク コウゾウ

  • 複合語:漢字3字から成り,音読するもので,第一字が修飾的機能をはたすもので,独立性にとぼしいときは,接頭語として扱う。

    光化学コウカガク
    生化学セイカガク
    理化学リカガク

  • 複合語:漢字3字から成り,音読するもので,はじめ2字が独立の概念を表し,第3字が従属的な場合は,第3字を接尾語として扱う。

    昆虫記コンチュウキ
    燃料油ネンリョウユ
    観音竹カンノンチク

  • 複合語:漢字3字から成り,音読するもので,上記のもの以外は全体を一語とする。

    剛構造ゴウコウゾウ

  • 複合語:漢字4字又はそれ以上から成り,音読されるもので,漢字2字から成る単語2個(又はそれ以上)から合成されるものは,単語ごとに分離する。いずれかが3字から成る場合も,同様に扱う。

    電子計算機デンシ ケイサンキ
    現代経営心理学講座ゲンダイ ケイエイ シンリガク コウザ
    工業有機化学コウギョウ ユウキ カガク
    応用微分積分学オウヨウ ビブン セキブンガク
    数理統計学スウリ トウケイガク
    腐食科学入門フショク カガク ニュウモン
    物性工学ブッセイ コウガク
    最新機械工学サイシン キカイ コウガク
    材料力学ザイリョウ リキガク
    近代数学講座キンダイ スウガク コウザ
    上野動物園水族館ガイドウエノ ドウブツエン スイゾクカン ガイド
    情報化時代ジョウホウカ ジダイ
    独占禁止法ドクセン キンシ ホウ
    ※この場合の「法」は接尾語ではないので分離する
    図学概説ズガク ガイセツ
    燃料・燃焼器具概論ネンリョウ・ネンショウ キグ ガイロン
    機械振動学通論キカイ シンドウガク ツウロン
    現代気候学論説ゲンダイ キコウガク ロンセツ

  • 複合語:漢字4字又はそれ以上から成り,音読されるもので,漢字1字と3字の2単語から合成されるものについては,漢字3字から成る複合語の扱いに準ずる。

    電磁気学デンジキガク

  • 数詞:数詞は,すべて一語とするが,助数詞をともなうものは,それを含めて一語とし,「第」は接頭語として扱う。

    第1次第2次大戦間爆撃機ダイ1ジ ダイ2ジ タイセンカン バクゲキキ

  • 人称代名詞:人称代名詞は,すべて一語とするが,「がた」「たち」など,複数を表す語は接尾語として扱う。

    君たちキミタチ

3.人名・地名・団体名
4.略語,略称は,1単位とする。
(例)

ソ連共産党大会ソレン キョウサントウ タイカイ
国鉄労組コクテツ ロウソ
国連安保理事会コクレン アンポ リジカイ

5.外来語・外国語・擬似外国語は,原語の単語の分け方に従って分かち書きをする。
(例)

ガイドブックガイド ブック
カラーテレビカラー テレビ
タイムシェアリングタイム シェアリング
ビニルハウスビニル ハウス
ライフサイエンスライフ サイエンス
スポーツカースポーツ カー

6.動詞・形容詞・形容動詞に,形容詞,助動詞又は助詞が続く場合は,それらを含めて1単位とする。
(例)

わかりやすいワカリヤスイ
食べられる野草タベラレル ヤソウ
休むに似たるかヤスムニ ニタルカ
上手な使い方ジョウズナ ツカイカタ

7.助詞が二つ以上続く場合は,その全体を1単位とする。
(例)

星座への招待セイザ エノ ショウタイ
アインシュタインとの論争アインシュタイン トノ ロンソウ
化学結合とは何かカガク ケツゴウ トワ ナニ カ
だれにもわかるダレ ニモ ワカル
生物としての人間セイブツ トシテノ ニンゲン

11.3.4 中国語資料のヨミの表記及び分かち書き規則

11.3.4.1 目的

 この規則は,中国語書誌に付与される日本語ヨミのゆれを少なくするための目安であり,日本語資料と同様に,分かち書きされたヨミから単語単位の検索用漢字インデックスを作成し,オンライン検索を可能にすることを目的とする。これは,中国文化を反映した語を含む日本語資料にも適用する。

11.3.4.2 ヨミの表記
1.原則として,日本語慣用の音読みをカタカナで表記する。
熟語の読みの典拠は,「大漢和辞典語彙索引」(大修館)(以下「語彙索引」と略称する)の中で音読みされている語とする。
「語彙索引」にない語は,注(82頁)の方式に従い,漢字1字ごとの一般的な音読みを与える。
(1)日本語で音読みされる語は日本語の慣用音どおりとし,無理に漢音を使用しない。
(例)

经济ケイザイ
诗歌シイカ
黄金オウゴン
古今ココン
一对夫妇イッツイ フウフ

(2)日本語で訓読みや一部訓読みが一般的なもの,及び日本語にない語は,漢字1字ずつの一般的な音読みを与える。
(例)

广场コウジョウ
大型ダイケイ
读物ドクブツ
内幕ナイマク
野蔷薇ヤショウビ

*巴金の「家」
初恋ショレン
*屠格涅夫(ツルゲーネフ)の「初恋」
骆驼祥子ラクダ ショウシ
*原音読みの「ルオトゥ シヤンズ」としない
乡镇企业キョウチン キギョウ
*「乡(郷)」の一般読みは「キョウ」

(3)典拠に漢音読みと呉音読みがある語は,漢音読みを採用する。
(例)

异名イメイ
风情フウジョウ
经典ケイテン
光明日报コウメイ ニッポウ
工夫コウフ
人间ジンカン

(4)簡体字は,相当する繁体字の読みを与える。
(例)

(徴)集チョウシュウ
*「セイシュウ」としない。
(葉)コウヨウ
*「コウキョウ」としない。
キンゼン
*元々の繁体字としての読み
(聽)说チョウセツ
*「キンセツ」としない。
*汇の繁体字形は区別し難いので,「兌換」の意味のあるときは「カイ」(匯)と読み,それ以外は「イ」(彙)と読む。例外として,「文匯報」は「ブンワイホウ」と読む。

(5)簡体字形か繁体字形かで典拠の読みが異なるものは,繁体字形の読みを採用する。
(例)

苹(蘋)果ヒンカ
*「ヘイカ」としない。

(6)中国語の現代音が日本語化したと認められるものは,日本語の慣用音による。
(例)

拼音ピンイン
饺子ギョウザ
麻婆豆腐マーボ ドウフ
四角号シカク ゴウマ
*「码」の一般音は「バ」。

2.同じ語でも,由来や意味に応じて読み分けることがある。
(1)古典に由来する語は典拠の読みを採用し,一般的な読みと使い分ける。
(例)

文选注引书引得モンゼン チュウインショ イントク
唐代文选トウダイ ブンセン
山海经探原センガイキョウ タンゲン
山海漫谈サンカイ マンダン

(2)一般的に,朝代を表わす「明」「清」は「ミン」「シン」と読み,台湾を表わす「台」は「タイ」と読む。ただし,語彙例がある場合は,その読みに従う。
(例)

明清史ミンシンシ
皇清经解コウセイ ケイカイ
*典拠の語彙例
台声杂志社タイセイ ザッシシャ
*対台湾への宣伝を目的とする出版社

3.中国固有名
(1)中国人名は典拠のとおりとし,典拠にない場合は一般的な読みを与える。
ただし,典拠における促音は採用せず,典拠にない連濁は採用しない。
(例)

乐毅ガク キ
*典拠どおりに「ガッ キ」としない。
曹雪芹ソウ セツキン
*典拠どおりに「ソウ セッキン」としない。
冯雪峰フウ セツホウ
*「フウ セッポウ」としない。
周立波シュウ リツハ
*「シュウ リッパ」としない。
韓非カン ピ

(2)姓としての「叶」「龙」「向」は,典拠の読みは採用せず,それぞれ「ヨウ」「リュウ」「コウ」と読む。
(例)

叶德辉ヨウ トクキ
*ショウ トクキとしない
龙从云リュウ ジュウウン
*リョウ ジュウウンとしない
向士璧コウ シヘキ
*ショウ シヘキとしない。

(3)中国名を持つ外国人名は,中国人と同じに扱う。
(例)

李约瑟文集リ ヤクシツ ブンシュウ
*李约瑟はNeedham, Joseph(1900-1995)の中国名。

(4)中国の地名は,「現代中国地名辞典」(学研)を第1典拠とし,「語彙索引」を第2典拠とする。少数民族名については、「中国少数民族一覧」と地名の典拠による。典拠にないものは,他のツールを参考に一般的な日本語の読みを与える。
(例)

北京ペキン
西藏族チベットゾク
藏族ツァンゾク
广西壮族自治区コウセイ チワンゾク ジチク
石家庄セキカソウ
*第2典拠には「セッカソウ」とあるが,採用しない。

典拠で訓読みされる語は,音読みに代える。
(例)

蒙古ナイモンゴル
*第1典拠には「ウチモンゴル」とある。
*和書では「ウチモウコ」と読む。

4.日本語に由来する語
(1)日本語に由来する同一表記の語は,訓読みを含む日本語の読みに従う。
(例)

浮世绘ウキヨエ
空手道カラテドウ
舌切雀シタキリスズメ
芥川龙之介选集アクタガワ リュウノスケ センシュウ
初恋ハツコイ
*島崎藤村の作品
楢山节考ナラヤマブシコウ
*深沢七郎の作品
二百十日ニヒャクトオカ
*夏目漱石の作品
浮世澡堂ウキヨ ソウドウ
*式亭三馬の「浮世風呂」
伊豆的舞娘イズ テキ ブジョウ
*川端康成の「伊豆の踊子」
桃太郎金太郎モモタロウ コン キンタロウ
*松谷みよ子の「ももたろう・きんたろう」

(2)日本語に由来するが同一表記でない語については,原則に従い,音読みを与える。
(例)

中国之智慧チュウゴク シ チエ
*吉川幸次郎の「中國の智慧」
沙拉纪念日サロウ キネンジツ
*俵万智の「サラダ記念日」
千只鹤センセキカク
*川端康成の「千羽鶴」
蜘蛛人チシュジン
*江戸川乱歩の「蜘蛛男」
神与人之间シン ヨ ジン シカン
*谷崎潤一郎の「神と人間との間」

(3)日本語に由来する音訳語は,相当する日本語表記に従う。
(例)

卡拉OKカラオケ
夏普シャープ

5.仏教用語は,呉音主体の日本語の慣用読みを与える。
(例)

光明念诵コウミョウ ネンジュ
观音经カンノンキョウ
*「经」は「ケイ」と読むが,仏教用語として使用された場合には「キョウ」と読む。ただし,「孝经」(コウキョウ)など,典拠にあるものは典拠に従う。

6.日本語・仏教用語以外の外来語
(1)固有名詞(人名・地名・商品名など)の音訳語は,相当する日本語の読みを採用する。読みが分からない場合は仮にそのまま音読みで登録しておく。
(例)

可口可乐コカ コーラ
基督キリストキョウ
拿破仑ナポレオン デン
俄罗斯ロシア
伦敦ロンドン
纽约时报ニューヨーク ジホウ
*New York Times
波斯ダイペルシアギク
*「コスモス」としない。
墨西哥メキシコジョウ
*「メキシコシティ」としない。
孟加拉バングラコク
*「ベンガルの国」の意味。「バングラデシュ」 としない。
斯拉夫ナンスラブ
*「ユーゴスラビア」としない。

(2)固有名詞の音訳語であっても,相当する日本語の読みがない場合には音読みする。
(例)

托福タクフク
*「TOEFL」としない。

(3)固有名詞の音訳語とともに用いられる「新」と「圣(聖)」は,例外として相当する日本語読みを充てる。
(例)

新德里ニューデリー
圣保罗サンパウロまたはセントポール

(4)固有名詞の意訳語は,一律に音読みする。
(例)

冰島ヒョウトウ
*「アイスランド」としない。
牛津ギュウシン
*「オックスフォード」としない。
旧金山キュウキンザン
*「サンフランシスコ」としない。

(5)普通名詞は,意訳語・音訳語ともに一律に音読みする。
(例)

逻辑ラシュウ
*「ロジック」としない。
巧克力コウコクリョク
*「チョコレート」としない。
引得イントク
*「インデックス」としない。
迷你裙メイジクン
*「ミニスカート」としない。

(6)略語は,一律に音読みとする。
(例)

德国トクコク
苏联ソレン
马列主义バレツ シュギ
*「マルクス レーニン シュギ」としない。

7.漢数字の読みは日本語資料の規則に従うが,訓読みは採用しない。
(例)

一千零一夜イッセンレイイチヤ
日语一月ニチゴ イチゲツツウ
*「一月」は「ヒトツキ」の意味である。

8.音韻変化について
 典拠または国語辞典にない語の読みは,原則として促音便や連濁を採用しない。ただし,数詞に続く語は許容する。
(例)

激光ゲキコウ
*「ゲッコウ」としない。
七色光シチショクコウ
*「シチショッコウ」としない。
吟边燕语ギンヘン エンゴ
*「ギンペン エンゴ」としない。
古诗一百首コシ イッピャクシュ
*「イチヒャクシュ」としない。

(注)「大漢和辞典」による一般読みの採用方針について
「大漢和辞典」の親字の下には多くの読みが挙げられているものがあるが,音読みとして実際に使用されているものは1つか2つであり,漢音に限定されているわけではない。そこで,一般読みの採用は,次の方針によることとする。
  • 和語や仏教用語の読みを除いた,語彙例で多く使用されている読みを一般読みとして採用する。ただし,「常用漢字表」にその読みがない場合は,表にある読みを優先して採用する。
  • 意味や習慣によって使い分けされるものは,複数の読みも採用する。
  • 語彙例があってもローマ字表記の読みしかないものは,他の字典を参考にする。
  • 語彙例のないものは,原則として親字の下の初出の漢音を採用する。
  • 通常使用されている字体の読みと単に字形の異なるだけの異体字との間で読みが異なるときは,読みを統一する。(例:「乗」はショウと出ているが,ジョウとする。)
  • 「大漢和辞典」にない文字は,他の字典を参考にする。
  • 簡体字の場合には,相当する繁体字の読みを採用する。
11.3.4.3 分かち書き
1.基本的考え方
(1)原則として,漢字2字または3字を分かちの基本単位とする。これに,接頭語や接尾語が付加することがある。
(例)

中国民间宗教教派研究チュウゴク ミンカン シュウキョウ
キョウハ ケンキュウ
世界思想家文库セカイ シソウカ ブンコ

①漢字1字の語は,分離すると指示されているもの,あるいは,結果として他の語から分離されたものである。
(例)

日本的改革与振兴ニホン テキ カイカク ヨ シンコウ

②分離すると指示されている品詞でも,4字以下の分離できない熟語は分離しない。
(例)

为人イジン
为不着イフチャク
总而言之ソウジゲンシ
形而上学ケイジジョウガク

(2)中国語では,同一の漢字でも文脈によって品詞が異なることがあり,品詞が異なれば分かちの適用も異なる。したがって,特定の漢字が出てきたら,常に結合あるいは分離することはないことに注意する。
(例)

住放向盘ハジュウ ホウコウバン
*(ハンドルをしっかりにぎる)動詞
椅子イッパ イス
*(一のいす)量詞(助数詞)
坏了シャハ カイリョウ
*(かじ棒がこわれた)名詞
书包拿过来ハ ショホウ ダ カライ
*(カバンをもってきた)介詞(前置詞)

(3)以下のような構成でまとまった概念を表わす2字語は,熟語化していなくても基本単位として扱い,分離しない。
(例)

叶绿花红的夏天ヨウリョク カコウ テキ カテン
*主語+述語
红颜易老コウガン イロウ
*形容詞+名詞,動詞+補語
看信カンシン
吃鱼キツギョ
*動詞+賓語(目的語)
搞坏コウカイ
打死ダシ
熟透ジュクトウ
*動詞+補語
已婚的情侣イコン テキ ジョウリョ
*副詞+動詞
トライ
*副詞+動詞
サイダイ
コウコウ
コンカイ
*副詞+形容詞

(4)4字あるいはそれ以上でまとまった概念を表わすものは,2字あるいは3字ごとに分離する。
(例)

晶体管功率放大器ショウタイカン コウリツ ホウダイキ
无缝钢管ムホウ コウカン
环境保护规划カンキョウ ホゴ キカク
辩证唯物主义ベンショウ ユイブツ シュギ

①分離すると原意が不明確になったり再現できなくなるものは,分離しない。
(例)

古汉语学コカンゴガク
研究生院ケンキュウセイイン
红十字会コウジュウジカイ
古生物学家コセイブツガクカ
交朋好友コウホウコウユウ
*交好朋友と同じ
晚明两大迷案バンミン リョウダイメイアン

②成語またはこれに準ずる4字語は,全体を基本単位とする。
(例)

风平浪静フウヘイロウセイ
爱憎分别アイゾウブンベツ
水到渠成スイトウキョセイ
光明磊落コウメイライラク
一衣带水イチイタイスイ
黑不溜秋コクフリュウシュウ
不亦乐乎フエキガクコ
爱莫能助アイバクノウジョ

③ABAC形式の4字語は,基本単位とし分離しない。
(例)

胡里胡塗コリコト
越来越快エツライエツカイ

④「数詞A数詞B」または「A数詞B数詞」形の4字語は,基本単位とし分離しない。
(例)

三心二意サンシンニイ
颠三倒四テンサントウシ

(5)単語の重ね型は,次のように扱う。
①AA形式のものは,これを基本単位とする。
(例)

人人ジンジン
看看カンカン
大大ダイダイ
红红的コウコウ テキ
个个ココ

②ABを引き伸ばしたAAB形式またはABB形式のものは,これを基本単位とする。
(例)

蒙蒙亮モウモウリョウ
亮堂堂リョウドウドウ
奇奇怪博士キキカイ ハクシ

③ABを引き伸ばしたABAB形式のものは,ABを基本単位として分離する。
(例)

研究研究ケンキュウ ケンキュウ
尝试尝试ショウシ ショウシ
雪白雪白セツハク セツハク
通红通红ツウコウ ツウコウ

④ABを引き伸ばしたAABB形式のものは,全体を基本単位とする。
(例)

来来往往ライライオウオウ
清清楚楚セイセイソソ
花花朵朵坛坛罐罐カカダダ ダンダンカンカン

(6)1字の語が並列して続くものは,全体を基本単位とする。
(例)

看看看カンカンカン
儒墨之异同ジュボク シ イドウ
老荘思想ロウソウ シソウ
诗词曲语词汇释シシキョク ゴジ カイシャク
华英德法词典カエイトクホウ シテン
实用省市地县现代规划ジツヨウ ショウシチケン ゲンダイキカク
马恩列斯著作编译局バオンレツシ チョサク ヘンヤクキョク
江浙豫皖太平天国史料选编コウセツヨカン タイヘイ テンゴク
 シリョウ センペン

①並列語の前後に並列語全体にかかる語があれば,これを分離しない。
(例)

省市ブンショウシ
七八ジュウシチハッサイ
八九ハックテン
元明清ゲンミンシンシ
陆海空リクカイクウグン
文史哲集成ブンシテツガク シュウセイ

(7)1字の略語は名詞と同様に扱い,2字以上で構成される略語は2字あるいは3字を基本単位とする。
(例)

环保カンホ
*环境保护の略
人代ジンダイ
*全国人民代表大会の略
经贸ケイボウ
*经济贸易の略
编委会ヘンイカイ
*编辑委员会の略
彩图册サイズサツ *彩图图册の略
汉文典カンブンテン *汉文文典の略

(8)日本語でカタカナ表記される外来語は1単位とし,原語の単位で分離しない。
(例)

迷你裙メイジクン
*ミニスカート
圣路易セントルイス
新德里ニューデリー
纽约ニューヨーク
センチメートル
加那利群島カナリア グントウ
特立尼达和多巴哥トリニダード ワ トバゴ

(9)前の語にも後ろの語にも付加することが可能な語は後ろの語と結合させて,できるだけ1字の語は作らない。
(例)

经济稿ケイザイ シコウ
名人メイジン デンリャク
地方志学チホウ シシガク

2.品詞等の扱い方
(1)連詞(接続詞),「得」以外の構造助詞,語気助詞,嘆詞(感嘆詞),擬声語は,他の要素と分離する。
①連詞
(例)

工人农民コウジン ワ ノウミン
光荣艰巨コウエイ ジ カンキョ
不但而且フタン カイ ジショ コウ
你来还是不来ジ ライ カンゼ フライ

②構造助詞
(例)

,穿,用,都有キツ テキ,セン テキ,ヨウ テキ,トユウ
大地女儿ダイチ テキ ジョジ
原理シ テイ ゲンリ
慢慢マンマン チ ソウ
坦白告诉你吧タンハク チ コクソ ジ ハ
少年ショウネン シ カ
最发达的国家之一サイハッタツ テキ コッカ シ イチ
*日本語における「的」は名詞の接尾語であるが,中国語においては,日本語の「の」に当たる助詞であることが多いので,分離する。
*「之」と方位語が結びついた之前(シゼン),之内(シナイ),之至(シチ)のようなものは,2字方位語として1単位とする。

③語気助詞
(例)

你知道ジ チドウ マ?
快去カイキョ ハ!

④嘆詞
(例)

! 真美!ア! シンビ!
, 你説什麽?オン, ジ セツ ジュウマ?
, 走着瞧吧!フン, ソウチャク ショウ ハ!

⑤擬声詞
(例)

啪!ハク!
哗哗カカ
″轰隆″一声 "ゴウリュウ"イッセイ
冬冬冬トウトウトウ
叽叽喳喳キキササ
大公鸡喔喔ダイコウケイ オクオク テイ

(2)介詞(前置詞)
①介詞(前置詞)は,一般に他の要素と分離する。
(例)

东边去コウ トウヘン キョ
开除了タ ヒ カイジョ リョウ
人民服务イ ジンミン フクム
昨天起ジュウ サクテン キ
关于这个问题カンウ シャコ モンダイ
重庆雾中ザイ ジュウケイ ムチュウ
党的基本路线重点イ トウ テキ キホン ロセン イ ジュウテン

②「介詞+名詞」あるいは「動詞+介詞」で2音節を構成するときは,1単位とする。
(例)

タイニチ
チョウナン
1949年セイウ 1949ネン

(3)方位語(方向,場所,時間などを示す語)
①方位語を修飾する副詞は,分離しない。
(例)

极左キョクサ
稍后ショウゴ
最后サイゴ
紧上头キンジョウトウ
再下边儿サイカヘンジ
顶前头チョウゼントウ

②接頭の1字方位語は,分離しない。
(例)

半球ホクハンキュウ
半生ゼンハンセイ
西萨摩亚セイサモア

③1字語を修飾する2字方位語も分離しない。
(例)

东南トウナンア

④接尾の1字方位語は分離しない。
(名詞例)

サンジョウ
ジュカ
カリ
一年イチネンゴ
过渡カトチュウ
企业キギョウナイ
座谈会ザダンカイジョウ
二十世纪 20セイキショ
网络环境モウラク カンキョウカ
稀土金属化合物キド キンゾクカン カゴウブツ
近百年的中国キンヒャクネンライ テキ チュウゴク

(動詞例)

テンジョウ
ホウカ
ダライ
ソウキョ
教室ソウシン キョウシツ
主峰ハジョウ シュホウ

⑤接尾の2字方位語は分離する。
(名詞例)

里面カ リメン
外面モン ガイメン
火车上面カシャ ジョウメン
学校旁边ガッコウ ボウヘン

(動詞例)

进来ソウ シンライ
上去チョウ ジョウキョ
出来ソウ シュツライ
起去ハン キキョ
起来ショウ キライ
过去ウン カキョ
回来ソウ カイライ

⑥例外として,固有名の接尾の方位語は分離する。(1字姓を除く)
(例)

纵队史エツ チュウ ジュウタイシ
永定河エイテイカ ジョウ

(4)接頭語
①接頭辞(副,总,非,反,超,老,阿,可,无,各,毎など)は,分離しない。
(例)

部长フクブチョウ
金属ヒキンゾク
声波チョウセイハ
工程师ソウコウテイシ
弹道导弹ハンダンドウ ドウダン
业务人员ヒギョウム ジンイン
各学科カクガッカ
毎年マイネン

②接頭の1字形容詞は,分離しない。
(例)

高粱コウコウリョウ
時期シンジキ
科技コウカギ
天地人系统观テンチジン キョケイトウカン
草原上的房子ダイソウゲンジョウ テキ ショウボウシ

③独立性をもち,それだけで1個の名詞的概念を表わす接頭の語は,分離する。
(例)

飞天ム ヒテン
记者ジョ キシャ
弹弓キン ダンキュウ
武器カク ブキ

④固有名の前の接頭語は,分離する。(1字姓を除く)
(例)

中国シン チュウゴク
凯恩斯论ハン ケインズ ロン

⑤タイトルの冒頭にあって全体にかかるものは,分離する。
(例)

英汉学生词典 シン エイカン ガクセイ シテン

(5)接尾語
①接尾辞(子,儿,遊,性,者,埀,家,手,化,断など)は,分離しない。
(例)

タクシ
ガジ
ボクトウ
乘务ジョウムイン
艺术ゲイジュツカ
科学カガクセイ
现代ゲンダイカ
溶拉机タクロウキシュ
タモン
孩子ガイシモン

②基本単位の接尾に1字の名詞が付加してまとまった概念を構成するものは,分離しない。
(例)

中文チュウブンショ
水浒スイコデン
职官ショッカンヒョウ
糊涂笑谈コトオウ ショウダン
德江傩堂トクコウ ダドウギ
秦汉研究シンカンシ ケンキュウ
唐宋通论トウソウシ ツウロン
元明概说ゲンミンシ ガイセツ
PC系列工具 PC ケイレツキ コウグショウ

③基本単位の接尾の1字名詞でも,熟語としづらいものは分離する。
(例)

隋唐传说ズイトウ リュウ デンセツ

(6)人名・地名・団体名
①人名は,姓と名をそれぞれ1単位として,他の要素と分離する。ペンネーム,別名などはこれに準ずる。
(例)

李准リ ジュン
王国维オウ コクイ
梅兰芳バイ ランホウ
东方朔トウホウ サク
诸葛孔明ショカツ コウメイ
主席モウ シュセキ
总统ショウ ソウトウ
主任デン シュニン
工部ト コウブ
右丞诗集トウ オウ ウジョウ シシュウ
*唐の王維

②固有名化した呼称は,2字あるいは3字を1単位とする。
(例)

孔子コウシ
西施セイシ
孟尝君モウショウクン
武则天ブソクテン
包公案词话八种ホウコウ アン シワ ハッシュ
天花藏主人テンカゾウ シュジン

③現代中国人の2字のペンネームは,第1字が「百家姓」にあれば,姓名扱いをする。百家姓にないものおよび同じ文字が繰り返されているものは,全体を1語とする。
(例)

鲁迅||ロ ジン
巴金||ハ キン
老舍||ロウシャ *百家姓にない
毛毛||モウモウ

④姓に付加する「氏」と「家」は,分離しない。
(例)

司马氏シバシ
白氏文集ハクシ モンジュウ
斯迈尔斯氏スマイルスシ
蒋家王朝ショウカ オウチョウ

⑤1字姓が名とセットで用いられないときは,普通名詞とみなす。
(例)

ショウリュウ
ロウセン
ゴロウ
モウシ
诗选读トシ センドク
李杜绝句リト ゼック
批孟子ソヒ モウシ
王全传ガクオウ ゼンデン
全传セツガク ゼンデン
后风暴トウゴ フウボウ
周恩来批判 : 名家评シュウ オンライ ヒハン : メイカ
 ヒョウシュウシュウ

⑥地名と団体名は,日本語資料の基準に従う。
(例)

北京ペキンシ
河北カホクショウ
鸭绿オウリョクコウ
タイザン
洞庭ドウテイコ
台湾海峡タイワン カイキョウ
西辽河セイリョウガ
景山ケイザン ゴガイ
中华人民共和国チュウカ ジンミン キョウワコク
中国社会科学院チュウゴク シャカイ カガクイン

(7)動詞
①1字の動詞の後ろの「住」「着(zhao)」「動」「到」「見」「憧」「会」「完」「了(liao)」「在」「对」「錯」「好」は分離しない。
(例)

記住キジュウ
买着バイチャク
讲到コウトウ
说完セツカン
念了ネンリョウ
写好シャコウ
太阳照在桑干河上タイヨウ ショウザイ ソウカンガ ジョウ

②動詞とその後ろの動態助詞「着(zhe)」「了(le)」「過」は分離しない。
(例)

看着カンチャク
进行了シンコウリョウ
消极过ショウキョクカ

③「動詞+賓語(目的語)」で3字以上になるものは分離する。
(例)

开玩笑カイ ガンショウ
交流经验コウリュウ ケイケン

④動詞と目的語の間に他の要素が入ったものは,分離する。
(例)

了一个キュウリョウ イッコ キュウ
过三次リカ サンジ ハツ
セイ キ キ ライリョウ
一本书ダキ イッポン ショ ライ

⑤「動詞あるいは形容詞+補語」で3字以上になるものは,分離する。
(例)

建成楼房ケンセイ ロウボウ
化为蒸气カイ ジョウキ
当做笑话トウサ ショウワ
整理好セイリ コウ
建设成公园ケンセツ セイ コウエン
改写为剧本カイシャ イ ゲキホン

⑥繋詞「是」の接頭の副詞は分離しない。それ以外は単独で用いる。
(例)

但是タンゼ
真是シンゼ
都是トゼ
也就是ヤシュウゼ
并不是ヘイフゼ
我的书シャ ゼ ガ テキ ショ
刀・情ショク ゼ トウ・ジョウ ゼ ケン

⑦「動詞または形容詞+得+補語」「動詞または形容詞+不+補語」形の3字語は,1単位とする。
(例)

キツトクショウ
コウトクコン
コウトクタ
タイフキ
ソウフトウ
カイフトク

⑧4字以上の場合の「得」は,分離する。
(例)

发抖レイ トク ハツトウ
不好シャ トク フコウ
打扫干净ダソウ トク カンジョウ

⑨4字以上の場合の「不」は,補語と組み合わせて1単位とする。
(例)

看不出来カン フシュツライ
听不进去チョウ フシンキョ

(8)代詞(代名詞)
①代詞に付加してその意味を補うものは,1単位とする。
(例)

这些シャサ
这么シャマ
这么些シャマサ
那样ナヨウ
这般シャハン
那里ナリ
哪里ナリ
这边シャヘン
这会儿シャカイジ
怎么样シンマヨウ

②代詞に1字の量詞あるいは名詞が結びついたものは1単位とし,2字のものは分離する。
(例)

这个シャコ
我国ガコク
你单位ジ タンイ
你爱人ジ アイジン
某人ボウジン
某工厂ボウ コウショウ
其他キタ
其原理キ ゲンリ
本市ホンシ
本部门ホン ブモン
该刊ガイカン
该公司ガイ コウシ
有其母必有其女ユウ キボ ヒツユウ キジョ

③代詞と数詞との間は分離する。
(例)

这一代人シャ イチダイ ジン
那一会儿ナ イッカイジ

(9)数詞と量詞
①連続した数字は,分離しない。
(例)

九亿零七万二千三百五十六キュウオクレイシチマンニセンサンビャクゴジュウロク
新十日谈シン ジュウニチ ダン
五四运动史ゴシ ウンドウシ
四八烈士シハチ レッシ
二十万分之一河南省调查图ニジュウマンブン シ イチ カナンショウ チョウサズ

②小数を含む数字は1語とする。
(例)

二点五ニテンゴ
零点七五レイテンシチゴ

③序数を表わす「第」に続く数詞は,分離しない。
(例)

十三ダイ13
三百五十六ダイ356

④数詞と量詞は1単位とし,分離しない。
(例)

两个人リョウコ ジン
一百多个イッピャクタコ
十来万人ジュウライマン ジン
几家人キカ ジン
几天工夫キテン クフウ
几十根钢管キジュッコン コウカン
十几个人ジュウキコ ジン
无名格言一千句ムメイ カクゲン イッセンク

⑤代詞あるいは数詞と結びつかない量詞は,分離する。
(例)

想个办法ソウ コ ベンポウ
对面是块稻田タイメン ゼ カイ トウデン

⑥形容詞に付加して程度を表わす「些」「点」「点儿」などの不定量詞は,分離しない。
(例)

大些ダイサ
快点儿カイテンジ
安静点アンセイテン

⑦不定量詞に数詞が含まれるものは,分離する。
(例)

大一些ダイ イッサ
快一点儿カイ イッテンジ

(10)副詞
①2字以上の副詞は,他の要素と分離する。
(例)

刚刚ゴウゴウ ソウ
非常ヒジョウ カイ
十分感动ジュウブン カンドウ

②否定副詞は,動詞や形容詞との間を分離しない。
(例)

不来フライ
フジョ
可能フカノウ
应该オウ フオウガイ
ベッセツ
ボツライ
交渉ボツコウショウ

11.3.4.4 ピンイン表記
1.各種辞典,字書にもとづいて記録する。辞典,字書間に異同がある場合,最新のものに従う。
(例) 新華字典(商務印書館),中日大辞典(大修館書店),現代漢語詞典(商務印書館),現代中国語辞典(光生館),中日辞典(小学館),新字源(角川),辞海(上海辞書出版社)
解説(ピンインの選択)
(1)漢字1字に対し複数の読み方があるときは,上記辞典を参考にして適切なものを選択する。
(例)

重心 zhong xin重新 chong xin
成长 cheng zhang长城 chang cheng
传统 chuan tong传记 zhuan ji
大会 da hui会计 kuai ji

(2)地名,姓は辞典,参考図書等を参照して読み方を確定する。名に使われている字が複数の読み方をもつときには人名辞典等を参照し確定する。確定できないときにはよく使われている読み方を選択する。
(例)
人名辞典
現代中国人名辞典(霞山会) 1995年版,1991年版(ただし台湾関係などはウェード式)
(現代中国人名辞典(国書刊行会)はウェード式表記のため不適)
中国情報人物事典(三菱総合研究所)
地名辞典
最新中国地名事典(日外アソシエーツ)
現代中国地名辞典(学習研究社)
2.ピンインは,CHINA MARCに準拠し,漢字一字ごとに分かち書きする。単語ごとの分かち書きは採用しない。
(例)

西安事变史料 xi an shi bian shi liao
*xi'an shibian shiliaoとはしない

3.ピンインには四声その他の記号はつけない。ウムラウトはつけなくてもよい。
(例)

绿色食品 lü se shi pin
*lu se shi pinとしてもよい

4.ピンインはすべて小文字で表記する。
5.タイトル中の漢数字にはピンインを付与し,英数字,記号等はそのままを表記する。回次,年次,日付を表す漢数字であってもピンインを付与する。
(例)

我的一九九七 wo de yi jiu jiu qi
我的1997wo de 1997

6.児化韻を表す「児」(儿)は,前の音節に「r」をつけて表記する。「er」とはしない。
(例)

一会儿 yi huir
花儿 huar

(参考)

婴儿 ying er
*児化韻ではなく,「小児」を表す場合

7.助詞の「的」,「地」は「de」と表記する。助詞の「了」は「le」と表記する。助詞の「着」は「zhe」と表記する。
(例)

中国的外交政策 zhong guo de wai jiao zheng ce
胜利地完成任务 sheng li de wan cheng ren wu
取得了伟大胜利 qu de le wei da sheng li
走着去 zou zhe qu

(参考)

的确 di que
地球 di qiu
了解 liao jie
着手 zhuo shou
着火 zhao huo(助詞以外の場合)

8.「子」は「zi」と表記する。前の音節に「z」を付ける方法(岩波中国語辞典など)は採らない。
(例)

孩子hai zi
*haizとはしない


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