オンライン・システム・ニュースレター No.29 (1991.06.10)


総合目録委員会の審議結果(図書)


 平成2年度総合目録委員会、同小委員会で承認された事項について、その概要をお知らせします。

1 「目録情報の基準」の改訂事項

・PTBLフィールドの「固有の標題でないもの」の記述

 「目録情報の基準(改訂版)」p. 33 、p. 79 の例を以下のようにします。

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃PTBL: Handbuch der Orientalistik <14> 7. Abt. . Kunst und Archaologie ; 3. ┃
┃   Bd. ; Innerasien ; 3. Abschnitt ; Tibet, Nepal, Mongolei ; 2 Lfg. .  ┃
┃   The arts of Nepal ; Pt. 2//bb                     ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

 「目録情報の基準(改訂版)」では、Innerasien、Tibet, Nepal, Mongoleiを「固有の標題でないもの」としていますが、記述例では区切り記号"△.△" を付し、中位の書誌単位の標題として記述されていました。この点について、多くの参加組織から疑義が寄せられました。そこで、上記の例のように、「固有の標題でないもの」が連続する場合の区切り記号を "△;△" とします。


        ┌───┐
       ┌┤△; △├─┐
       │└───┘ │
       │      │      ┌─────────────┐
       │      │      │       ┌────┐│
  ┌─┐  │┌────┐│      │┌───┐  │中位の ││
 ┬┤△├──┴┤親書誌の├┴─┬─ ─┬┴┤△; △├──┤書誌単位├┴─┬──
 │└─┘   │番号等 │  │   │ └───┘  │の番号等│  │
 │      └────┘  │   │        └────┘  │
 └──────────────┘   └────────────────┘

2 その他の登録上の懸案事項

1) 「固有の標題でないもの」に関わる書誌の修正

 「基準」の改訂により、「固有の標題でないもの」の扱いが旧版より明確になった点があります。

 (例)・「小説」「詩歌」...等の形式区分をあらわす名称は、旧版では特に具体的
    に言及されていなかったが、改訂版では「固有の標題でないもの」として具体
    的に列挙されている
   ・別個の著者等を持つ部編名は、書誌単位とする

 このため、旧版の下で作成された書誌の中には、改訂版に従うとレコード作成単位の変更が必要になるものがあります。
 「固有の標題」に関する改訂版の適用について、旧版に照らせば正しく、修正を行わなくとも特に問題がない書誌もすべて修正しなければならないのかという質問が寄せられました。
 書誌レコード作成単位の変更により、所蔵レコードの付替作業が必要になります。その作業を行う参加組織の負担を考慮し、以下のようにします。


ア 改訂版「目録情報の基準」に従い修正を行うもの
・ 改訂前後にわたって継続中の多巻もので、書誌構造の整合性が損なわれていると判断 されるもの(例:「固有の標題でないもの」の表に該当するものが、改訂の前後で書 誌単位・出版物理単位というように異なる扱いがされている)
・ 書誌構造の捉え方の相違により重複書誌となっているもの
・ その他、重大な問題があるもの

イ 原則として修正を行わないもの
・ すでに完結している多巻もので、上記のような問題がないもの

 なお、書誌レコード作成単位の変更が伴う修正 (VOLフィールドの追加、子書誌の作成) 等は、従前どおり、書誌作成館と協議の上行い、所蔵の付け替えの連絡を忘れずにお願いします。

2) 音楽作品名の統一書名標目の構成要素・作成単位


ア 標目の構成要素
 AACR2の統一タイトルの章で規定している標目の構成要素のうち、下記のものを採用します。
 タイトル(または楽曲形式名),演奏手段,数の識別要素 (逐次番号・作品番号・ 主題目録番号等) ,調,その他の識別要素,部編番号,部編名・部分のタイトル, 編曲表示,歌曲譜・歌詞等の表示
 これまでの統一書名典拠の運用に準じ、次のものは標目の構成要素とせず、UTLフィールドの「その他の情報」として記録します。
 歌詞等の言語.出版年等(同一タイトルの異なる作品を識別するために付記する場 合を除く)
   (例) UTL: Schubelt, Franz, 1797-1828 -- Nocturne, piano trio, D. 897, E♭
      major <...> 1979

イ レコード作成単位

 統一書名典拠レコードは、無著者名古典・聖典の1著作(ここでいう著作には聖典の部篇も含む)に対し1レコードを作成することになっています。
 音楽作品についても、基本的には上記の原則に従うことにしますが、多くの内容作品を持つものについては、
  a) UTL フィールドの繰り返し可能回数等に物理的な制限がある (30回が上限) 
  ため、個々の内容作品に対してUTL フィールドを作成できない場合もある
  b) 上記の場合も、集合タイトルを適用することによって、ジャンル等による限
  定は可能である
点を考慮し、例外的に集合タイトルを認めることにします。
 (例)モーツアルトのピアノソナタ選集
  UTL: Mozart, Wolfgang Amadeus, 1756-1791 -- Sonatas, piano. Selections

3) 複数の出版物理単位からなる単行書誌単位の記述、および記述の情報源

 現在、集合書誌単位、逐次刊行物に対して定められている基準に準じ、以下のようにします。

 a) 原則として初巻による(初巻がないときは手元にある最初の巻による)
 b) 書誌の同定の支障になるので、TRフィールド等は初巻と他の巻の表示を合成し
  記述しない。
 c) 初巻と異なる他の巻の情報は、注記する。
 d) 初巻を記述の根拠としなかったときは、必要に応じて、記述の情報源とした巻
  次等を注記する。
 以上については、既にニュースレターNo. 27の「目録システムに関する最近の質問書から」でお知らせしてあります。

4) レコード修正指針

 共有レコード(書誌レコード、典拠レコード)の修正について、
 ア どのような修正ならば行ってもよいのか
 イ どのような修正を行う場合、所蔵館への連絡、レコード作成館への確認が必要
  なのか
等の点について、参加組織より指針を示してほしいという声があります。
 そこで、
 ア 慎重に修正しうるもの
   (レコード作成館等への確認、所蔵館への連絡が不要なもの)
 イ 各参加組織の点検・確証作業が必要なもの
   (レコード作成館等への確認、所蔵館への連絡が必要なもの)
の2つに分け指針を示すことについて提案し、承認されました。
 現在、その内容の細部を検討中です。まとまり次第、コーディングマニュアルとして刊行する予定です。


5) 親書誌における並列標題の取扱い

 親書誌において、並列標題の有無、本標題-並列標題の選択の相違から別書誌レコードが作成されている事例に関し、
 ア 並列標題の有無、本標題-並列標題の選択の相違のみでは別書誌作成の根拠と
  ならない
 イ 親書誌の標題は初巻、若しくは入手できるもののうち最初の巻のものを採用する
旨確認されました。

6) 音楽作品名の統一書名標目が準拠する規則

 音楽作品名についても、日本名であればNCR87に従って標目形を決定しますが、NCR87の統一タイトルの章には、以下の例に挙げるような音楽作品名の標目に関する詳細な規定が存在しません。

  (例) 1 標目の構成要素(楽曲形式、演奏手段、作品番号... 等々)
    2 標目の構成要素の区切り記号
    3 タイトルの選定           等々

 そこで、NCRにしたがって音楽作品名の統一書名標目を決定する際、NCR87で規定していない事項については、当面、必要に応じ音楽図書館協議会の「日本目録規則 音楽作品の統一タイトル(案)」を参照することにします。

3 今年度への持ち越し事項

 以下の懸案事項については、今年度の総合目録委員会、小委員会で審議される予定です。

 1) 非図書資料・複合媒体資料の書誌レコード作成単位
 2) 親書誌に対応する「特殊な版表示」