オンライン・システム・ニュースレター No.44 (1994.03.31)


「遡及入力指針」の運用について


今回「コーディングマニュアル」の付録として公表することとなった「遡及入力指針」については、「目録情報の基準運用細則」作成検討部会において、何回かにわたって検討が行われました。そして、検討結果は総合目録小委員会及び総合目録委員会において審議され、了承されました。この指針は新しい作業領域に関するものですので、ここに本指針の考え方・作業上の留意点等についての解説を試みました。本指針を適用する際の一助としていただきたいと思います。

  1. 本指針の作成にあたって

    本来総合目録データベースは、資料現物に基づいてデータを作成することが原則です。そこで、今回このような形で、資料現物に基づかないデータ作成を認めるにあたっては、多々議論がありました。書誌データの品質維持に対してこれまでと同様留意する必要があることや、連絡・調整が煩雑になる等、実作業での問題もないわけではありません。
    ただ、総合目録データベースに反映されないままになっている、カード形式・冊子体形式・機械可読形式といった様々な形態の情報を遡及入力することが、ILLシステムの稼働に伴って、ますます重要となってきています。また、各参加館のOPACの充実という点からも遡及入力が必要です。これらの点を考慮し、未入力目録の総合目録データベース化がより容易にかつ迅速に可能になるよう、本指針を作成することになりました。

  2. 「遡及入力」という用語について

    ここでいう「遡及入力」とは、各図書館等が保有している目録カード等の情報(カード目録、冊子体目録、及びローカルシステムに蓄積されている図書ファイル等の機械可読目録のデータ)を総合目録データベースに入力することをいいます。
    いいかえれば、総合目録データベース化を伴わない、ローカルシステムへのデータの機械可読化(遡及変換)は、ここにいう「遡及入力」ではありません。

  3. 「遡及データ」「遡及書誌データ」の扱いについて

    カード形式・機械可読形式を問わず、既に作成された目録のことを「遡及データ」といい、また、「遡及データ」によって作成された書誌データのことを「遡及書誌データ」と呼んでいます。これらにはそれぞれ次のような特徴があります。

    1. 「遡及データ」

      1. 資料現物から作成された書誌データに対し、このデータを根拠に修正を行うことはできません。

      2. 同じ「遡及データ」から作成された書誌データ(「遡及書誌データ」)に対しては、データを豊富にする方向でのみ修正を行うことが許されています。

    2. 「遡及書誌データ」

      1. 必ず注記に「遡及データ」から作成した旨を記録しておきます。

      2. 資料現物による修正には従わなければなりません。

  4. 同定作業について

    遡及入力にあたっては、総合目録データベースの品質管理の上からも、充分な検索と同定作業が必要です。カード目録等の遡及データと検索結果とが同じものかどうかを調べること(同定作業)は、遡及データ側の情報が充分でない可能性が高いことを考えると必ずしも容易ではありません。そのためこの指針では、遡及データの実態に沿っていくつかのパターンが用意され、同定時の判断が少しでも容易になるように考慮されています。

    なお、遡及データから書誌を作成する場合には、後の同定作業が容易になるよう、記述される情報は最低限、目録規則で示されている記述の第一水準を満たしていることが必須条件となります。したがって、第一水準を満たさない遡及データの場合には、現物を確認してから総合目録データベース化することを、本指針は求めています。

  5. 機械可読形式のデータからの遡及入力について

    NACSIS-CATへの接続以前に、あるいは目録システムが稼働する前に、ローカル独自のデータベースを構築している図書館や、NACSIS-CATとは別に、ローカルシステムの初期データの迅速な構築のために、これまでのカード目録等からデータベースを作成する図書館も多いようです。このような形で作成されたデータ群を、総合目録データベースに統合しようとすることを、本指針のなかでは「機械可読形式のデータからの遡及入力」といっています。

    これらのデータを効率的に遡及入力する手段として、自動登録機能を持ったソフトウェアを利用することも可能です。このソフトウェアは、上記のように既に機械可読形式のデータが存在するような場合に、オンライン目録システムを通して自動的に検索を行い、該当する書誌データがあれば所蔵データを登録する、という機能を持ったものです。

    この場合、自動的にヒットした書誌が正しいものであったのか、同定作業を行うことが必要です。自動登録ソフトウェアの取り扱いについては、ニュースレターNo.28 にも記事が掲載されていますので、ご参照ください。

  6. 資料現物による遡及的データ入力について

    「遡及入力」における問題点は、書誌構造の把握が困難であることと、「固有の標題」が「遡及データ」からは把握しにくいという点です。総合目録データベースの書誌データ作成の基本方針に従って、資料現物に基づいて遡及的なデータ登録を行ってこられた参加館は、可能であれば今後も従来どおりの方法で作業を行ってください。