オンライン・システム・ニュースレター No.52 (1995.08.31)


AACR2の改訂について(2)


洋資料を扱う場合に準拠する目録規則であるAACR2の改訂について,どのような変更があったのかを,前回に引き続き紹介します。

今回は,アクセス・ポイントの選定に関わる章(AACR2 第21章)を取り上げます。

第21章  アクセス・ポイントの選定

21.1 基本規則

21.1A 個人著者の著作

21.1A1
  改訂内容:個人著者の例示の削除
  ┌─────────────────────────────────────┐
  │AACR2      図書の著作者や音楽の作曲者等が例示されていた                   │
  │          ↓                                                              │
  │AACR2R88     具体的な例を削除し,定義の個別的な適用については,章中の当該   │
  │             箇所を見るという一般的な指示に変更                           │
  └─────────────────────────────────────┘


21.1B 団体のもとの記入

21.1B2
  改訂内容:団体のもとに記入する著作のカテゴリーのうち,b), e)中に列挙される種
          類を追加し,カテゴリーf)を新たに規定した
 b)┌─────────────────────────────────────┐
   │AACR2       「以下の種類に属する法律・行政上の著作」(種類省略)            │
   │          ↓                                                              │
   │AACR2R88   "constitutions (see 21.33)," "court rules (see 21.34)"を種類   │
   │           に追加                                                         │
   │           また,「宗教上の著作」を加え,種類としては,"religious laws       │
   │              (e.g., canon law)," "liturgical works (see 21.39)"を追加    │
   └─────────────────────────────────────┘
 e)┌─────────────────────────────────────┐
   │AACR2     演奏・演技グループがグループとして活動した所産で,その責任が     │
   │          演技・演奏,製作にとどまらない録音物,フィルムおよびビデオ録      │
   │          画                                                              │
   │          ↓                                                              │
   │AACR2R88   演奏・演技グループがグループとして活動した所産で,その責任が    │
   │           演技・演奏,製作にとどまらないもの。上記録音物等の他に,こう     │
   │           した演奏・演技活動を書いた記録も含む                           │
   └─────────────────────────────────────┘

 f)┌─────────────────────────────────────┐
   │AACR2R88   団体による地図資料で,その団体の責任が出版・頒布にとどまらな    │
   │           いもの                                                         │
   └─────────────────────────────────────┘


21.2 本タイトルの変更

21.2A 定義

21.2A1  (AACR2 21.2A) 
  改訂内容:本タイトルが変更されたと見なす場合の縮小(ISBD(S)に合わせた
            改訂)
  ┌─────────────────────────────────────┐
  │AACR2R88      冠詞・前置詞・接続詞以外の語が追加・削除・変更された場合,ま │
  │       た,冒頭の5語(最初が冠詞のときは6語)の語順に変更があった            │
  │       場合は,通常,本タイトルが変更されたとみなす。                       │
  │       ただし,                                                            │
  │       a)語の表現上の変化(短縮形等と完綴形,単数と複数,綴りの相違          │
  │        など)                                                             │
  │       b)冒頭の冠詞を除く最初の5語より後の語に変更があったが,タイ         │
  │        トルの意味や主題はそれによっては変わらない場合                    │
  │       c)タイトル末尾の刊行団体名の付加・削除                             │
  │       d)区切り記号の変更                                                 │
  │        は,本タイトルの変更とは見なさず,適宜注記に記し,また,アク          │
  │        セス上必要であれば副出記入の標目とする                            │
  └─────────────────────────────────────┘
  注意:総合目録データベースでは,アクセス上必要であれば,変更はあったが本タイ
    トルの変更とはみなさないタイトルは,VTフィールドに記録する


21.6 責任性の分担されている著作

21.6C 主たる責任性が示されていない場合

21.6C1
  改訂内容:個人名・団体名が主情報源に表示されている順序が版によって異なってい
      る場合に関する規定を追加
  ┌─────────────────────────────────────┐
  │AACR2R88   各版を,その版で最初に表示されている個人・団体に対する標目の    │
  │           もとに記入する                                                 │
  └─────────────────────────────────────┘
      *例)Decision systems for inventory management and production
           planning / Rein Peterson, Edward A. Silver
         基本記入はPetersonに対する標目のもとに
         副出記入をSilverに対する標目のもとに

          Decision systems for inventory management and production
           planning. ― 2nd ed. / Edward A. Silver, Rein Peterson
         基本記入はSilverに対する標目のもとに
         副出記入はPetersonに対する標目のもとに

  注意:総合目録データベースでは,基本記入の標目にあたるものは,ALフィールド
       に記録する際,主記入フラグを付すことができる

21.6C2
  改訂内容:責任性が4以上の個人・団体で分担されている著作で,主たる責任性がど
           こにあるか示されていない場合の副出記入に関する文言の変更
  ┌─────────────────────────────────────┐
  │AACR2     副出記入は最初に表示されている個人名・団体名に対する標目のも    │
  │          とに作成する                                                    │
  │          ↓                                                              │
  │AACR2Amen.93 副出記入は目録対象資料に顕著に示されているうちの最初の個人名 │
  │        ・団体名に対する標目のもとに作成する                              │
  └─────────────────────────────────────┘
  改訂内容:目録対象資料に個人名・団体名が表示されていない場合の規定の削除
           編者が表示されている場合の規定の追加
  ┌─────────────────────────────────────┐
  │AACR2Amen.93  3以下の編者が顕著に表示されている場合は,それぞれの編者に対  │
  │             する標目のもとに副出記入を作成し,4 以上の編者が顕著に表示さ  │
  │             れている場合は,主要な編者および(または)最初に表示された編    │
  │             者に対する標目のもとに副出記入を作成する,という規定を追加    │
  └─────────────────────────────────────┘
       *例)A dictionary of music and musicians (A.D. 1450-1889) /
            by eminent writers …; edited by Sir George Grove
         基本記入はタイトルのもとに
         副出記入はGrove に対する標目のもとに


21.7 合集,および編者の指揮のもとに作成された著作

21.7A 適用範囲

21.7A1  (AACR2 21.7A) 
  改訂内容:カテゴリーの3)を削除
       当条項の適用を除外する旨の規定を削除
              会議の論文集または議事録についての参照を削除
              録音物の合集についての参照を追加
  ┌─────────────────────────────────────┐
  │AACR2Amen.93  録音物の合集については,21.23C-21.23D を参照する             │
  └─────────────────────────────────────┘


21.12 テキストの改訂

┌21.12A 原著者が責任を有すると考えられる場合
│       (見出しはAACR2R88の改訂によって付加された) 
└21.12B 原著者がもはや責任を有しないと考えられる場合
       (見出しはAACR2R88の改訂によって付加された) 

21.12A1   (AACR2 21.12A)
   改訂内容:原著の著者等が責任を有すると考える場合の変更
  ┌─────────────────────────────────────┐
  │AACR2       その名称が責任表示またはタイトル中に表示されていたり,主情報   │
  │           源の表現形式によってその責任性がいまだに保たれていると考えら   │
  │           れる場合                                                       │
  │          ↓                                                              │
  │AACR2R88    その名称が1)責任表示に表示されているか,2)本タイトルに表示さ   │
  │           れていて,かつ,責任表示やタイトル関連情報にその他の個人名が     │
  │           表示されていない場合                                           │
  └─────────────────────────────────────┘

21.12B1  (AACAR2 21.2B)
  改訂内容:原著の著者等に対する標目のもとには記入しない場合の規定の変更
  ┌─────────────────────────────────────┐
  │AACR2     主情報源の表現形式が,原著に責任のある個人・団体がもはやその     │
  │        著作に責任を有すると考えられていないことを示している場合は,       │
  │        改訂者等のもとに記入し,原著に対する標目のもとに固有名+タイ        │
  │        トルの副出記入を作成する                                          │
  │          ↓                                                              │
  │AACR2R88   主情報源の表現形式が,原著に責任のある個人・団体がもはやその    │
  │        著作に責任を有さないと考えられるような場合の例として,原著者       │
  │        が本タイトル中にのみ表示されているが,責任表示や版の責任表示       │
  │        にはその他の個人・団体が主たる責任者として表示されている場合      │
  │        が挙げられている。またこのとき,改訂者に対する標目のもとに記       │
  │        入する,という指示のほかに,場合によってはタイトルのもとに記        │
  │        入する,という規定も追加された                                     │
  │        原著者に対する標目のもとに固有名+タイトルの副出記入を作成す       │
  │        る際,容易にわかるときは,原著に責任のある個人・団体に対する        │
  │        標目のもとに記入されたもののうち最新の版のタイトルを用いる旨      │
  │        付記された。また,タイトルが原著の著者名で始まり,基本記入が        │
  │        改訂者等の名のもとに作成された場合は,必ずタイトルの副出記入       │
  │        を作成する旨追加された                                            │
  └─────────────────────────────────────┘
        *例)Salmond on the law of torts.― 12th ed. / by R.V. Heuston 
          AACR2:  基本記入はSalmond に対する標目のもとに
             副出記入をHeuston に対する標目のもとに
                (21.12A1の例) 
          AACR2R88: 基本記入はHeuston に対する標目のもとに
              副出記入(固有名+タイトル形) をSalmond に対する標目のもとに
              副出記入をタイトルのもとに
                          (21.12B1の例) 

  注意:総合目録データベースでは,基本記入の標目にあたるものは,ALフィールド
    に記録する際,主記入フラグを付すことができる。また,同データベースでは,
    固有名+タイトルの標目は使用しない


21.12A1   (AACR2 21.12A)
   改訂内容:縮約(abridgement) ,要約(condensation)の記入方法の変更
  ┌─────────────────────────────────────┐
  │AACR2        (改訂,増補,更新と同様)原著の著者等が責任を有すると考えら     │
  │            れる場合は原著者に対する標目のもとに記入し,縮約者等に対する   │
  │            標目のもとに副出記入を作成する                                │
  │          ↓                                                              │
  │AACR2R88    縮約の場合は,原著者に対する標目のもとに記入し,縮約者に対す    │
  │            る標目のもとに副出記入を作成する                              │
  │            原著からの書き直し(rewriting) を含む要約については,21.10(テ   │
  │            キストの翻案) の指示に従う〔すなわち,翻案者等に対する標目の   │
  │            もとに記入する。翻案者名不明のときはタイトルのもとに記入する  │
  │            原著に対する副出記入を作成する〕                              │
  └─────────────────────────────────────┘
  注意:総合目録データベースでは,基本記入の標目にあたるものは,ALフィールド
      に記録する際,主記入フラグを付すことができる


21.23 録音物
       (見出しはAACR2R88の改訂によって,「録音物の記入」から変更)

┌21.23C 複数の個人・団体による著作。総合タイトル〔あり〕
└21.23D 複数の個人・団体による著作。総合タイトルなし

  改訂内容:これらの見出しはAACR2R88の改訂によって付加された。また,AACR2 では
          CとDとは総合タイトルの有無ではなく,主たる演奏・演技者の数によって
          分けられていた。

21.23C1   (AACR2 21.23C, 21.23D)
   改訂内容:改訂前の規定の適用範囲を,総合タイトルを持つ録音物に限定
  ┌─────────────────────────────────────┐
  │AACR2       主たる演奏・演技者が2か3のときは,最初に表示されているもの     │
  │            に対する標目のもとに記入し(21.23C),4以上か0のときは,タ        │
  │            イトルのもとに記入する。(21.23D)。                            │
  │          ↓                                                              │
  │AACR2R88    総合タイトルを持つものについて,上記の規定を適用する           │
  └─────────────────────────────────────┘


21.23D1   (AACR2 21.23D)
   改訂内容:総合タイトルを持たないものを1単位として扱う場合について詳しい規定
      を新設
  ┌─────────────────────────────────────┐
  │AACR2       21.7C を参照する〔すなわち,主情報源に示された最初の著作に対   │
  │            する適切な標目のもとに記入する。総合的な主情報源がなければ目  │
  │            録対象資料中の最初の著作に対する適切な標目のもとに記入する〕  │
  │                 ↓                                                       │
  │AACR2R88   a)(いわゆるポピュラー,ロック,ジャズ音楽に通常見られるよう      │
  │            に) 演奏者の役割が演奏・製作・解釈を超えている場合は,主た     │
  │            る演奏者として表示されている個人・団体に対する標目のもとに    │
  │            記入する(イ)                                                  │
  │            主たる演奏者が2または3のときは最初に表示されているものに      │
  │            対する標目のもとに記入し,その他に対する標目のもとに副出記     │
  │            入を作成する(ロ)                                              │
  │            主たる演奏者が4以上か0のときは,最初に表示された著作に対       │
  │            する適切な標目のもとに記入する(ハ)                            │
  │           b)(クラシックその他いわゆるシリアスな音楽に通常見られるよう    │
  │            に) 演奏者の役割が演奏・製作・解釈にとどまる場合は,最初の     │
  │            著作に対する適切な標目のもとに記入し,適宜その他の著作に対     │
  │            する標目のもとに副出記入を作成する。                          │
  │            21.23A1 の指示に従って,各著作の主たる演奏者に対する標目の     │
  │            もとに副出記入を作成する                                      │
  └─────────────────────────────────────┘
       *例)I want to make you smile / Bill Medley ; [sung by] Kenny
         Rogers.  Coward of the county / R. Bowlings, B.E. Wheeler ; [sung 
         by] Kenny Rogers
         基本記入はRogersに対する標目のもとに(a)-(イ))

                Ko Ko Mo / Forest, Haven ; the Harmonaires with Bob Murray
              Orchestra.  Tweedle dee / Scott ; Joni Downs and the Starliners.
              Ballad of Davy Crockett / Blackburn, Bruns ; Heck Johns and the 
              Pioneers.  How important can it be? / Benjamin, Weiss ; Joan
              Forrest with Jay Weston Orchestra 
                基本記入はForestに対する標目のもとに(a)-(ハ))

                Concerto grosso no. 1 for string orchestra with piano 
              obbligato / Bloch.  Spirituals : for string choir and orchestra 
              / Gould 
              (最初の著作はRafael Kubelik指揮Chicago Symphony Orchestra演奏,
              第2の著作はAntal Dorati指揮Minneapolis Symphony Orchestra演奏) 
               基本記入はBloch に対する標目のもとに
               副出記入(固有名+タイトル形)をGould に対する標目のもとに
               副出記入をKubelik, Dorati および2つのオーケストラに対する標目の
                 もとに(b))

  注意:総合目録データベースでは,基本記入の標目にあたるものは,ALフィールド
     に記録する際,主記入フラグを付すことができる。また,同データベースでは,
     固有名+タイトルの標目は使用しない


21.35 条約,政府間協定など

21.35D 国より小さい単位の法域が締結する条約

21.35D4  (新設条項)
  改訂内容:政府機関と非政府団体との間の協定の記入に関する規定の新設
  ┌─────────────────────────────────────┐
  │AACR2Amen.93 21.6C(責任性の分担されている著作で,主たる責任性が示されてい  │
  │             ない場合)の指示に従う。国際的な非政府団体が当事者となった協  │
  │             定については21.35B(国際機関の締結する協定)を参照する         │
  └─────────────────────────────────────┘


21.35F 合集

21.35F1 
  改訂内容:付記に関する参照先の変更
       合集としての総合タイトルのもとの記入に関する規定の追加
  ┌──────────────────────────────────────┐
  │AACR2         統一タイトルの付記については,参照先の21.35A1 に言及されてい   │
  │              るが,35A1では,統一タイトルの記載方法は,25.16B(単独の条約      │
  │              などで当事者数2か3の場合)を参照することになっていた           │
  │          ↓                                                                │
  │AACR2Amen.93  当事者に対する標目に,25.16A1(AACR2 25.16A(条約などの合集))    │
  │              に指示されているように,統一タイトルを付記する                 │
  │              合集としての総合タイトルが知られているならば,25.16A1 を参照し │
  │              て,その名称に対する統一タイトルのもとに記入する               │
  └──────────────────────────────────────┘
  注意:現在のところ,総合目録データベースでは,法律条約等の統一タイトルは記録
     しない

21.35F2 
  改訂内容:付記に関する参照先の変更
       合集としての総合タイトルのもとの記入に関する規定の追加
  ┌─────────────────────────────────────┐
  │AACR2     当事者に対する基本記入・副出記入の標目に,25.16B1 を参照して     │
  │          統一タイトルを付記する                                          │
  │          ↓                                                              │
  │AACR2Amen.93 統一タイトルの付記については,25.16A1 を参照する              │
  │             合集としての総合タイトルが知られているならば,25.16A1 にある  │
  │             ように,その名称に対する統一タイトルのもとに記入する          │
  └─────────────────────────────────────┘
  注意:現在のところ,総合目録データベースでは,法律条約等の統一タイトルは記録
     しない


21.38 神学的信経,信仰告白など

21.38A  (AACR2 21.38)
  改訂内容:複数の宗派によって認められている神学的信経・信仰告白等の記入方法の
      変更
  ┌─────────────────────────────────────┐
  │AACR2        目録対象の版に関係のある宗派に対する標目のもとに記入する。主 │
  │             情報源にその著作に本来責任を有する団体名が表示されているとき │
  │             は,それに対する標目のもとに副出記入を作成する                │
  │             その版が特定の宗教団体と無関係ならば,その著作に対して本来責  │
  │             任を有する団体に対する標目のもとに記入する                   │
  │             それ以外のときは,タイトルのもとに記入する                    │
  │          ↓                                                              │
  │AACR2Amen.93 タイトルのもとに記入する。適宜統一タイトルを用いる(よく知ら  │
  │             れる英語のタイトルがあればそれを用い,なければ原著の言語によ  │
  │             るタイトルを用いる)                                          │
  │             目録対象資料に関係のある個人・団体が3以下ならば,それぞれに   │
  │             対する標目のもとに副出記入を作成する。4以上ならば副出はしな  │
  │             い                                                           │
  └─────────────────────────────────────┘
       *例)The Assembly's Shorter catechism as used in the Presbyterian
        Church in the United States 
          (ウェストミンスター会議の教理問答書) 
        AACR2:   基本記入は教会に対する標目のもとに
                 副出記入をウェストミンスター会議に対する標目のもとに
        Amen.93: 基本記入はShorter catechism に対する統一タイトルのもとに
                 副出記入を教会とウェストミンスター会議に対する標目のもとに
  注意:現在のところ,総合目録データベースでは,宗教的著作の統一タイトルは記録しない