オンライン・システム・ニュースレター No.54 (1996.03.30)


新CAT/ILLシステムの概要


 常時約1300台の端末が同時に接続し,1日の図書所蔵登録件数が約2.6万件に達する 目録システムも,設計されてから既に10年以上が経過しました。これまで,各参加機関の要 望に応えシステムの改訂をほぼ毎年実施してきましたが,ここ数年の図書館を巡るハードウェ ア,ソフトウェアの環境は著しく変化してきており,目録システムも新たな環境に適応したバ ージョンに改訂する必要が生じていました。  このため,平成7年度からセンター内に,新バージョンの持つべき機能を洗い出すこととそ の実現方法を検討・設計することを目的とした「新CAT/ILLシステム検討会議」(以下 「検討会議」という)を設置して,集中的に審議をおこなってきました。  以下に御紹介するのは,この検討会議での審議に基づいて現在設計開発が進められている新 CAT/ILLシステムの概要です。この概要はあくまで現時点での概要であり,変更が加え られる可能性もありますが,各参加機関が今後システム更新等を行う上での参考としていただ ければ幸いです。

新システムの考え方

  1. クライアントサーバ型システムの採用
  2.  参加機関側をクライアント,センター側をサーバと位置付け,クライアントからの様々な要求に対して該当する情報を提供するという形態をとるのがクライアントサーバ型システムです。この場合,目録システムやILLシステムはアプリケーションサーバ上で動くプログラム群として検索要求を受け取って検索結果を返したり,登録要求を受け取りデータベースに書き込みしたりします。また,データベースサーバが直接検索や登録の要求を受け取って処理をすることも有り得ます。
  3. APIライブラリの公開
     クライアントサーバ型システムの場合,クライアントがどのような要求の仕方をすればサーバがどのような処理をしてくれるかが決まっている必要があります。この約束事がAPI(アプリケーション・インターフェイス)と呼ばれるものであり,新システムにおいてはセンターからライブラリの形で公開・提供します。
  4. UIP作成のガイドライン提示
     ユーザインターフェイスを提供するUIP(ユーザ・インターフェイス・プログラム)については,各システムベンダーが上記のAPIライブラリとクライアントの持つGUI環境とを利用して作成することになります。センターではUIP作成の際の注意事項をまとめたガイドラインを提示しますので,この範囲内でどのようなUIPを作成するかについて,各ベンダーに自由度が与えられます。その点,センターからソースコードを含む関係資料一式を提供したXUIPとは扱いが異なりますので,注意が必要です。なお,APIとガイドラインの提示のみではシステムベンダーの作業が円滑に進まない場合を考慮し,現在センターでUIPのプロトタイプを最近話題のJavaを用いて作成しています。要望があればこのプロトタイプの提示も行います。

新システムの機能

  1. JIS X0221の採用
     1993年(平成5年)にISO(国際標準化機構)において,中国語及び韓国・朝鮮語で使用される統合漢字を含む総数約3万4千字がUCS(国際符号化文字集合)として制定され,平成7年にはJISのX0221として国内規格化されました。JIS X0221には公用語の半数以上が含まれており,これを採用することによって現在総合目録データベース上で登録不可扱いになっている中国語及び韓国・朝鮮語等の資料を取り扱うことができるようになります。
     ただし,現在はまだJIS X0221に対応する環境が非常に限られているため,当面データベースだけを対応させることを検討しており,平成9年度運用開始の際にはクライアント側は現状どおりの運用となります。全体が対応するのは新システムの第2次計画の時点を予定しています。
  2. 自動登録インターフェイス
     従来のオンライン形式による自動登録ではなく,データの転送とバッチ的な処理とを可能にする専用のインターフェイスを用意します。このインターフェイスは前述のAPIとは異なり,データベースサーバと直にやり取りをする形となります。
  3. 作業対象ファイルの設定機能
      検索及び登録において,対象とするファイルを総合目録データベースのみとするか,参照MARCも含めるか,また,図書ファイルと雑誌ファイルを同時に検索対象とするかどうか等,組み合わせをクライアント側で指定することができるようにします。
  4. フルタイトルキーの作成
     NatureやScience 等の単語1語のタイトルや一般的な単語のタイトルは,検索時に対象を絞り込むにはSCAN等のコマンドを使用して集合演算をするよりほかに現在は手段がありません。そのような煩雑な手順を踏まずに上記のタイトルを容易に検索できるようにするため,本タイトルの先頭から終わりまでを一つの検索キー, すなわちフルタイトルキーとして作成することにします。このキーは自動登録ソフトウェアにおける検索キーとしてもかなり効果を発揮することになると予想されます。
  5. 重複書誌作成抑止機能
     重複書誌レコードのうち単純な操作ミスが原因と想定されるものについては,書誌レコード登録前にISBN等を用いて総合目録データベースを再検索し,ヒットした場合にはメッセージを出して注意を促すといったチェック機能があるだけでかなりの重複書誌作成を抑止できる可能性があります。新目録システムから出される特定メッセージを受け取って重複チェックを行う機能を,UIP側に付加することを必須とするようなガイドラインを作成することにします。
  6. データの二重保持の解消
     PTBLと親書誌タイトル,所蔵レコードの参加組織略称等,現行のシステムでデータを二重に記録している部分について,データの持ち方を整理します。これによってリンク関係に齟齬を来さないようになります。

 新システムは平成9年4月から運用を開始する予定であり,現在詳細仕様の確定を急いでい るところです。これらの内容及びスケジュールについて詳細がまとまり次第改めてお知らせい たします。また,参加機関,システムベンダーに対する説明会等も実施する予定です。