オンライン・システム・ニュースレター No.67 (1999.06.10)


総合目録データベースの品質管理事例集(その2)


前号では図書書誌ファイルの重複レコードのうち,検索が十分でなかったことが原因と考えられる事例を解説しました。第2回目である本号では,図書書誌ファイルの重複レコードのうち,書誌単位のとらえ方の違いが原因と考えられる事例などを集めました。

この事例集の中では,次のような略称で参照先の資料を示します。

基準3 → 目録情報の基準.第3版
検索編4 → 目録システム利用マニュアル.検索編.第4版
登録編4 → 目録システム利用マニュアル.登録編.第4版
CM → 目録システムコーディングマニュアル
抜刷集 → オンライン・システムニュースレター抜刷集
NL → オンライン・システムニュースレター

1. 図書書誌レコードの重複(その2)

(1) タイトルの判断 1

(古いレコード)(新しいレコード)
事例

事例の解説

タイトルの上や前に表示されている個人名や団体名を,タイトルの一部とするか責任表示とするかで別書誌レコードを作成してしまう場合があります。「広重」をタイトル中のキーワードとして検索したため,「広重」を責任表示として記述している既存の書誌レコードがヒットせず,重複レコードを作成したものと考えられます。

関連規則及び関連事例

−NCR87R 2.1.1.1D
「本タイトルの上部または前方に表示されている事項で,タイトル関連情報,巻次,回次,年次等,責任表示,版次,出版者名,シリーズ名のような書誌事項と判定される事項がある場合は,次のようにする。

ア)これらの事項が本タイトルの一部分とみなされるときは,全体を本タイトルとして記録する。
イ)本タイトルの一部としてみなされず,別個の書誌的事項として判断されるときは情報源における表示の順序にかかわらず,当該書誌的事項の所定の記録順序に従って記録する。」

対策

(検索時) −書誌レコードがヒットしない場合,明確にタイトルであると判断できる部分だけにして,検索してください。 (登録時) −タイトルの一部かどうかの判断で迷うような場合は,VTフィールドに異なる形のタイトルを記述しておくようにします。

発見時の対処

−このような重複書誌レコードを発見した場合,学術情報センターに報告してください。(→ 抜刷集 「2.5.2 重複レコード処理のしくみ」)


(2) タイトルの判断 2

(古いレコード)(新しいレコード)
事例

事例の解説

「中国石窟」として他に「クムトラ石窟」「麦積山石窟」などが刊行されています。「中国石窟」と「雲丘石窟」(あるいはそのヨミ)を同時にタイトル中のキーワードとして検索したため,「中国石窟」がPTBLとして記述されている既存の書誌レコードがヒットせず,重複レコードを作成したものと考えられます。

関連規則及び関連事例

−各巻タイトルをTRフィールドに記述したものと,VOLフィールドの繰り返しで記述したものとで重複レコードとなっている例も見られます。

(古いレコード)(古いレコード)

事例

(新しいレコード)

事例

それぞれ規定の情報源には”Naturalization cases and cases affecting constitutional and treaty rights”Japanese land cases”という表記があり,これらは固有のタイトルと判断できます。これらの固有のタイトルをTRフィールドに記述した,<BA******19><BA******20>が適当です。

対策

(検索時) −階層のある書誌の場合,親書誌レコードのタイトルと子書誌レコードのタイトルを同時に入力して検索すると,総合目録データベース内の求める書誌レコードにヒットしません。一度の検索につき,どちらか片方のタイトルのみ入力してください。通常は,子書誌レコードの検索語を選んで検索することをお勧めします。 (登録時) −階層関係を慎重に判断しましょう。資料現物だけでは判断できない場合,階層関係にあるのではないかと推測されるタイトル(例でいえば「中国石窟」)を検索し,どのようなレコードが登録されているのかを参考にする方法もあります。
−特に,参照ファイルから流用入力する際に注意が必要です。参照ファイルのデータは,必ずしも,レコードの作成単位やデータ内容が「目録情報の基準」に合致しているわけではないため,流用入力時には,慎重に判断して必要な修正を加えてください。(→ 抜刷集 「2.4.1 書誌レコードの流用入力」)

発見時の対処

−このような重複書誌レコードを発見した場合,学術情報センターに報告してください。(→ 抜刷集 「2.5.2 重複レコード処理のしくみ」)


(3)タイトルの判断 3

(古いレコード)(新しいレコード)
事例

事例の解説

部編名「総論」をタイトル中のキーワードとして検索したため,部編名としてVOLフィールドの繰り返しに記録している既存のレコードがヒットせず,重複レコードを作成したものと考えられます。

関連規則及び関連事例

−「総論」「各論」のように,対になって用いられている一般的な名称は「部編名」であり,固有のタイトルではありません。(→ 基準 「4.2.3 図書書誌レコードの作成単位」)

対策

(検索時) −巻冊次等(VOLフィールド)からは検索用インデクスが作成されていません。部編名・巻次等と考えられるものを検索語として用いるのは避けてください。

発見時の対処

−このような重複書誌レコードを発見した場合,学術情報センターに報告してください。(→ 抜刷集 「2.5.2 重複レコード処理のしくみ」)


(4)タイトルの判断 4

(誤って修正されたレコード)(子書誌レコード)
事例

事例の解説

1999年版には「新社会資本整備要覧」とともに,「21世紀を見据えた社会資本の整備」という1999年版にのみ与えられたタイトルが,規定の情報源に表記されています。1998年版には「新社会資本整備要覧」というタイトルしか表記されていません。1999年版は「21世紀を見据えた社会資本の整備」を固有のタイトルとして,「新社会資本整備要覧」の子書誌レコードとして表現します。
1999年版を登録するために「新社会資本整備要覧」から検索したところ,子書誌として登録されている<BN******25>に気づかず,誤って<BN******24>に1999年版の出版物理単位を登録したものと考えられます。

関連規則及び関連事例

−白書類にも同様の例が見られます。各巻に固有のタイトルがある場合,VOLのくり返しではなく子書誌レコードとして記録することになります。(→ 抜刷集 「1.0.6B) 白書等で各巻に固有の標題のあるものの入力について」)

対策

(検索時) −巻冊次等(VOLフィールド)からは検索用インデクスが作成されていません。部編名・巻次等と考えられるものを検索語として用いるのは避けてください。 (登録時) −固有のタイトルの有無を,慎重に判断してください。

発見時の対処

−<BN******24>のように誤って出版物理単位が登録されてしまうと,その後検索した所蔵館では適切に登録されている子書誌レコードがあることに気づかず,<BN******24>に所蔵レコードを登録して,調整をより困難にさせることになります。このような重複書誌レコードを発見した場合,学術情報センターに報告してください。(→ 抜刷集 「2.5.2 重複レコード処理のしくみ」) 


(5) 出版物理単位の扱い 1

(古いレコード)(新しいレコード)
事例

事例の解説

<BN******26>の注記によると,版によって外形の大きさや責任表示が異なっていますが,出版物理単位の繰り返しで表現される版の場合,これらは別書誌レコードを作成する根拠とはなりません。2点以上の部分からなる,大きさの異なる資料は,最小のものと最大のものをハイフンで結んで記録します。(→ NCR87R 2.5.3.2A)
また,出版物理単位の繰り返しで表現される場合に,個々の資料の刊行途中での責任表示の変更は,集合書誌単位の場合に準じて考え,新規書誌レコード作成の根拠とはなりません。(→ CM 0.4.2B2.3)
平成10年版を登録するためにタイトルと責任表示との論理積で検索したところ,責任表示に変更があったため既存の書誌レコードがヒットせず,重複レコードを作成したものと考えられます。

関連規則及び関連事例

−版と表記されていても,この例のように逐次性があり,実際は巻次,回次,年次等に相当する場合は,部編名として扱います。(→ NCR87R 2.2.1.1B, NCR87R 1.10.1.1) そのため総合目録データベースでは,VOLフィールドを繰り返して表現します。

対策

(検索時) −出版物理単位の繰り返しで表現される場合,ある時点から責任表示や出版者が変更されていたり,本タイトルの変更とはみなされないような微細な変更があっても,別書誌レコードとはなりません。書誌レコードの同定の際に注意してください。 (登録時) −刊行途中で責任表示等の変更がある場合には,同定ができるように注記してください。(→ CM 2.2.7F2.1) ALフィールドに記述して検索の便を図ると,より親切です。

発見時の対処

−このような重複書誌レコードを発見した場合,学術情報センターに報告してください。(→ 抜刷集 「2.5.2 重複レコード処理のしくみ」)


(6) 出版物理単位の扱い 2

(古いレコード)(新しいレコード)
事例

事例の解説

<BA******28>はhardcover版,<BA******29> はpaperback版の書誌レコードとしてそれぞれ別のレコードとなっていますが,出版年やシリーズ名も同じであることから,1つの書誌レコードにVOLフィールドの繰り返しで記録します。
Paperback版のISBNから検索したところ,既存の書誌レコードがヒットせず,重複レコードを作成したものと考えられます。

関連規則及び関連事例

−Paperback版とhardcover版とで出版年が異なる場合や,一方にのみ関連するシリーズがある場合(Paperback版だけにシリーズが付与されている場合が多い)には,それぞれ別の書誌レコードとします。(→ 抜刷集 「1.1.1D-2) Paperback版の扱いについて」)

対策

(登録時) −Paperback版とhardcover版とで出版年が異なるか,一方にのみ関連するシリーズがあるかを確認して,別書誌レコードとするかどうかを判断してください。

発見時の対処

−このような重複書誌レコードを発見した場合,学術情報センターに報告してください。(→ 抜刷集 「2.5.2 重複レコード処理のしくみ」)
学術情報センターでは,<BA******28>にpaperback版に関する情報を追加し,統合します。


(7) 記述の不備

(古いレコード)(新しいレコード)
事例

事例の解説

<BN******30>には,タイトル関連情報のヨミが入力されていません。ヨミが入力されていないと,ヨミの検索用インデクスはもちろんのこと,タイトルの漢字単語単位の検索用インデクスも正しく作成されません。そのため,タイトル関連情報からの検索では既存の書誌レコードがヒットせず,重複レコードを作成したものと考えられます。

関連規則及び関連事例

−JAPAN/MARCでは,タイトル関連情報のヨミが記述されていないことがあります。この場合は,流用入力をする際にヨミを必ず付加してください。(→ 抜刷集 「2.4.1A) 参照MARC流用時の注意事項〔JAPAN/MARC編〕(4)」)
−同様に,記述文法が正しく記述されていない場合も,検索用インデクスが正しく作成されず,検索ができなくなります。

(古いレコード)(新しいレコード)
事例

TRフィールドの記述は,「タイトル△/△責任表示||タイトルのヨミ」となりますが,<BN******32>ではヨミの前の区切り記号が誤っています。この場合,「キンダイ ギジュツシ」をタイトルのヨミではなく責任表示の一部であるとシステムが判断してしまいますので,タイトルのヨミや漢字単語単位では検索できません。データ要素の区切り記号は,システムがデータ要素を識別するためのしるしですので,正確に記述してください。

対策

(検索時) −タイトルのヨミや漢字単語単位で検索してもヒットしない場合は,検索語を変えて,タイトルの表記形からも検索してください。 (登録時) −流用入力時には,現物と照らし合わせて,総合目録データベースで採用する目録規則や「目録情報の基準」に合致する形へと修正してください。特にタイトルのヨミには注意してください。JAPAN/MARCにはタイトル関連情報のヨミが記録されていないことが多いため,流用入力する際に必ず記録してください。(→ 抜刷集 「2.4.1A) 参照MARC流用時の注意事項〔JAPAN/MARC編〕(4)」)
−データは入力データ記述文法を確認して,正しく記録してください。(→ CM 付録6)
なお,新システム対応クライアントの中には,記述文法を意識する必要のないクライアントもあります。

発見時の対処

−このような重複書誌レコードを発見した場合,学術情報センターに報告してください。(→ 抜刷集 「2.5.2 重複レコード処理のしくみ」)

(図書目録情報係)