オンライン・システム・ニュースレター No.68 (1999.09.30)


総合目録データベースの品質管理事例集(その3:雑誌編@)


今回から2回連続で,この品質管理事例集では雑誌について取り上げていきます。

雑誌編の1回目は,雑誌書誌でよく見かける重複レコードの事例3例を紹介しています。
2回目の次号では,雑誌所蔵レコードについて取り上げる予定です。  
この事例集の中では,次のような略称で参照先の資料を示します。


基準3 → 目録情報の基準.第3版
検索編4 → 目録システム利用マニュアル.検索編.第4版
登録編4 → 目録システム利用マニュアル.登録編.第4版
CM → 目録システムコーディングマニュアル
抜刷集 → オンライン・システムニュースレター抜刷集
NL → オンライン・システムニュースレター

1. 書誌レコード

雑誌の所蔵データを登録しようとして検索したところ,複数の書誌レコードがヒットし,どれに登録してよいか悩む場合があります。
そういった場合の判断の方法について,事例を挙げて解説します。

(1) 重複書誌レコード − 優先すべき情報源

所蔵データを登録しようとしたら,情報源が異なるためと思われる複数のレコードがヒットしました。どちらの書誌に所蔵を登録するべきでしょうか?

【重複レコード例】

(レコード1)(レコード2)
<AN*******1>
GMD: SMD: YEAR:1993 CNTRY:ja TTLL:jpn TXTL:jpn ORGL: PSTAT:d FREQ:a REGL:r TYPE:p
TR:学情セ紀要||ガクジョウセ キヨウ
VLYR:1号(1993)- PUB:東京 : 学術情報センター , 1993-
PHYS:冊 ; 21cm
<AN*******2>
GMD: SMD: YEAR:1993 CNTRY:ja TTLL:jpn TXTL:jpn ORGL: PSTAT:d FREQ:a REGL:r TYPE:p
TR:学情センター紀要||ガクジュツ ジョウホウ センター キヨウ
VLYR:1号(1993)- PUB:東京 : 学術情報センター , 1993-
PHYS:冊 ; 21cm
VT:CV:学情セ紀要||ガクジョウセ キヨウ
NOTE:タイトルは表題紙による

次のように,表紙と標題紙とに表示されているタイトルが違っていたため,それぞれを情報源として別の書誌レコードを作成したものと思われます。和雑誌の場合は,表紙が優先されます (洋雑誌の場合は標題紙)ので,表紙と同じタイトルの書誌レコード( 例ではレコード1) に登録してください。

初号表紙 初号表題紙
情報源 情報源

初号の表紙と標題紙とに表示されているタイトルが違っていた

事例の解説

情報源の優先順位を間違えて,重複書誌レコードを作成した例です。
書誌レコードに記録する情報は,どこからでも採用してよいものではありません。それぞれのデータ項目毎に,根拠とする情報源の優先順位が規定されています。
この情報源の優先順位は,図書・雑誌,また和資料・洋資料それぞれに規定されています。
特に書誌同定に関わる本タイトルの情報源の優先順位は重要です。和雑誌は表紙,洋雑誌は標題紙がもっとも優先度の高い情報源とされています。
この例では,情報源を見ると,標題紙の方が表紙よりも大きくタイトルが記録されていますので,標題紙をもとに書誌レコードを作成したくなりますが,それは間違いです。
和雑誌の本タイトルの情報源としては,表紙が優先されますので,いくら小さく目立たなくとも,表紙にある形を採用しなければなりません。

発見時の対処

このような重複書誌レコードを発見した場合は,学術情報センターに報告してください。( → 抜刷集 「2.5.4 ( 雑誌の) 重複書誌の発見について」)
その際,事実関係が確認できる情報源のコピーを,忘れずに添付してください。

対策

標題紙のタイトルをその他のタイトルフィールドに記述します。

【センターでの作業例】

<AN*******1>(レコード修正)
GMD: SMD: YEAR:1993 CNTRY:ja TTLL:jpn TXTL:jpn ORGL: PSTAT:d FREQ:a REGL:r TYPE:p
TR:学情セ紀要||ガクジョウセ キヨウ
VLYR:1号(1993)- PUB:東京 : 学術情報センター , 1993-
PHYS:冊 ; 21cm
VT:TT:学情センター紀要||ガクジュツ ジョウホウ センター キヨウ
<AN*******2>
  • 「削除予定レコードへの」修正
  • 所蔵の付替え(依頼連絡/付替報告)

関連規則及び関連事例

−( 和雑誌の場合)
TRフィールドのデータ要素の情報源は,表紙又は標題紙のある場合は初号の表紙,標題紙,背,奥付の順で採用する。 (→ CM 「 6.2.1E」 )

−( 洋雑誌の場合)
本タイトル,タイトル関連情報,並列タイトル,責任表示の規定の情報源は,AACR2R88 12.0B1に従い,初号のタイトルページとする。
ただし,タイトルページを欠く記述対象の場合はタイトルページの代替物とする。
また,初号がない場合は,所蔵する最も古い号とする。( → CM 「7.2.1E 」)

−雑誌書誌レコードの作成単位は,以下の基準による。 (中略 ) 本タイトル (従属タイトルを含む)が変遷したもの( → 基準3 「6.2.3 2(a) 」)

(2) 重複書誌レコード − レイアウトの変更

刊行途中で英文タイトルが加わったために,別の書誌レコードが作成されている雑誌があります。現物を見ると,確かに表紙のレイアウトが変わり,英文タイトルが目立つようになったのですが,このような場合,タイトル変遷とするのでしょうか。

初号表紙 11 号表紙
情報源 情報源

目立つタイトルが変化したら?

【重複レコード例】

(レコード3)(レコード4)
<AN*******3>
GMD: SMD: YEAR:1995 CNTRY:ja TTLL:jpn TXTL:jpn ORGL: PSTAT:c FREQ:b REGL:r TYPE:p
TR:海外言語学情報 / 日本言語学会||カイガイ ゲンゴガク ジョウホウ
VLYR:1号(1995)-
PUB:東京 : 日本言語学学会 , 1995-
PHYS:冊 ; 21cm
<AN*******4>
GMD: SMD: YEAR:1997 CNTRY:ja TTLL:jpn TXTL:jpn ORGL: PSTAT:c FREQ:b REGL:r TYPE:p
TR:Current trends in overseas linguistics = 海外言語学情報 / 日本言語学会||Current trends in overseas linguistics = カイガイ ゲンゴガク ジョウホウ
VLYR:11号(1996)-
PUB:東京 : 日本言語学学会 , 1995-
PHYS:冊 ; 21cm
NOTE:変遷前誌: 海外言語学情報<AN*******3>

従来のタイトルが表紙(洋雑誌の場合は標題紙)に表示されている限り,タイトル変遷とはしません。変遷前の書誌レコード(例ではレコード3) に,所蔵を登録してください。

事例の解説

レイアウトの変更をタイトル変遷と間違えて判断し,重複レコードを作成した例です。

学術情報センターでは,「顕著に表示されているタイトルに変更があっても,従来のタイトルが同一情報源上に表示されている限り,タイトル変遷とはみとめない(和洋共に適用)」と独自に規定しています。どれだけ小さくても,同一情報源に「従来のタイトル」が表示されていれば変遷とはしません。

ただし,「海外言語学情報より改題」等と明記されているなど,出版者のタイトル変更の意図が何らかの形で確認できた場合は,この独自規定は適用されません。

この例では,11 号以降も小さいながら表紙左下部に「海外言語学情報」の表示がされていますし,出版者のタイトル変更の意図も確認できませんでしたので,タイトル変遷とはしません。
11 号から新たに現れる英語タイトル "Current trends in overseas linguistics" は,並列タイトルの追加にあたります。
よってレコード4 は,重複レコードです。

発見時の対処

−このような重複書誌レコードを発見した場合は,学術情報センターに報告してください。( → 抜刷集 「2.5.4 ( 雑誌の) 重複書誌の発見について」)
その際,事実関係が確認できる情報源のコピーを,忘れずに添付してください。

対策

−途中から現れた並列タイトルを,その他のタイトル及び注記フィールドに記録します。

【センターでの作業例】

<AN*******3>
GMD: SMD: YEAR:1995 CNTRY:ja TTLL:jpn TXTL:jpn ORGL: PSTAT:c FREQ:b REGL:r TYPE:p
TR:海外言語学情報 / 日本言語学会||カイガイ ゲンゴガク ジョウホウ
VLYR:1号(1995)-
PUB:東京 : 日本言語学学会 , 1995-
PHYS:冊 ; 21cm
VT:OH:Current trends in overseas linguistics
NOTE:並列タイトルの追加: Current trends in overseas linguistics(11号(1996)-)
<AN*******4>
  • 「削除予定レコードへの」修正
  • 所蔵の付替え(依頼連絡/付替報告)

関連規則及び関連事例

−レイアウトの変更に伴い顕著に表示されているタイトルが入れ替わった場合も,タイトルの変更とみなさない( 遡及的には適用しない) 。(NACSIS 独自規定 )(→ CM 「 7.0.1 A1(6) 顕著に表示されているタイトルの変更」)

−刊行途中に並列タイトルが変更・追加・削除された場合は,タイトル変遷とみなさず,別レコードは作成しない。 (→ CM 「 7.0.1 A3 並列タイトルの変更」)

−刊行途中で並列タイトルの変更や追加があった場合は,TR フィールドには記録せず,「その他のタイトル」として,「タイトルの種類コード」(OH) と共にVT フィールドに記録する。( → CM 「6.2.1 F3.3 並列タイトルの変更・追加」, CM 6.2.6 F8.1, CM 7.2.1 F3.5, CM 7.2.6 F8.1)

(3) 重複書誌レコード − レコード作成単位の違い

共通タイトルと部編名とがある資料の所蔵データを登録しようとしたら,図書レコードの親書誌・子書誌のように書誌階層別にそれぞれレコードが作成されていました。その資料は,常に 2分冊一緒に刊行されています。どちらに登録すべきでしょうか。

初号表紙 初号表紙
情報源

雑誌には親書誌・子書誌は無いの?

【重複レコード例】

(レコード5)
<AN*******5>
GMD: SMD: YEAR:1989 CNTRY:ja TTLL:jpn TXTL:jpn ORGL: PSTAT:c FREQ:a REGL:r TYPE:p
TR:目録レコード解説 / 学術情報センター編||モクロク レコード カイセツ
VLYR:平成元年度(平1)- PUB:東京 : 学術情報センター , 1989-
PHYS:冊 ; 22cm
NOTE:「書誌の部」「所蔵の部」の2分冊からなる
(レコード 6) ←部編レベルの書誌→ (レコード7)
<AN*******6>
GMD: SMD: YEAR:1989 CNTRY:ja TTLL:jpn TXTL:jpn ORGL: PSTAT:c FREQ:a REGL:r TYPE:p
TR:目録レコード解説. 書誌の部 / 学術情報センター編||モクロク レコード カイセツ
VLYR:平成元年度(平1)- PUB:東京 : 学術情報センター , 1989-
PHYS:冊 ; 22cm
<AN*******7>
GMD: SMD: YEAR:1989 CNTRY:ja TTLL:jpn TXTL:jpn ORGL: PSTAT:c FREQ:a REGL:r TYPE:p
TR:目録レコード解説. 所蔵の部 / 学術情報センター編||モクロク レコード カイセツ
VLYR:平成元年度(平1)- PUB:東京 : 学術情報センター , 1989-
PHYS:冊 ; 22cm

部編毎に作成されている書誌レコード(例ではレコード6 ,レコード7) に登録してください。

事例の解説

書誌レコードの作成単位を間違えたために,重複書誌レコードを作成した例です。

資料に部編名が存在する場合,書誌レコードは,原則として部編毎に作成します。共通タイトル部分では,作成しません。したがって,この例では,レコードは不採用,レコード6とレコード7を採用,ということになります。

しかし,階層がある場合は,いつでも部編毎に書誌レコードが作成できるというわけではありません。部編レベルでの作成にも条件があります。部編毎に書誌レコードを作成するには,「部編単位で安定して刊行している」とともに,「部編単位で巻号付けがなされている」ことが必要です。

逆に,共通タイトルが不安定なこともあります。号によって情報源上に現れたり消えたりするなど安定していない場合の共通タイトルは, TRフィールドに記入するのではなく,その他のタイトルフィールドに「PT 」 コードを用いて記録してください。

本タイトルは,その資料を同定し,タイトル変遷の基準となる大事な情報です。目録規則に基づいた上で,できるだけ安定したものを採用するよう心がけてください。

発見時の対処

−このような重複書誌レコードを発見した場合は,学術情報センターに報告してください。( → 抜刷集 「2.5.4 ( 雑誌の) 重複書誌の発見について」)

【センターでの作業例】

<AN*******4>
  • 「削除予定レコードへの」修正
  • 所蔵の付替え(依頼連絡/付替報告)

関連規則及び関連事例

−雑誌書誌レコードは, 原則として, 逐次刊行物書誌単位で作成する。集合書誌単位のレコードは, 作成しない。 ( → 基準3 「6.2.3 雑誌書誌レコードの作成単位」)

− (逐次刊行物の )階層関係は , 逐次刊行物書誌単位のレコードのTR フィールドに, 本タイトルの共通タイトルと従属タイトルとして記録することを原則とする。(→ 基準3 「6.3.1 書誌構造の表現」)

−本タイトルは,部編に共通するタイトルと,個々の部編名または部編記号から構成される場合がある。この部編に共通するタイトルを「共通タイトル」,部編名または部編記号の部分を「従属タイトル」という。共通タイトルと従属タイトルは,原則として同じ情報源上に表示されていなければならない。 (→ CM 「 6.2.1 F2 従属タイトル」 )

−共通タイトルが従属タイトルと同一情報源にあったりなかったりする場合,または号によって表現がまちまちである場合,この共通タイトルは TRフィールドには記録せず, VTフィールドに「タイトルの種類コード」(PT) と共に記録する。 ( → CM 「6.2.5 共通タイトルが不安定な場合」 )

対策

( 検索時)
−共通タイトルと部編名とを同時に指定する検索だけでなく,共通タイトルだけ部編名だけの検索も行う。

( 登録時)
−手許の 1冊だけで書誌レコードを作るのではなく,複数の号の情報源で,共通タイトルや部編記号・部編名の安定性を確認した上,どの階層で書誌レコードを作成することが妥当であるか慎重に判断する。

−参照ファイルからの流用入力の場合,総合目録データベース (NC)の基準とは異なる書誌作成単位のレコードがあるので,そのまま流用するのではなく,必ず現物と照合の上,作成単位や本タイトルの記述について判断する。

(雑誌目録情報係)