オンライン・システム・ニュースレター No.70 (2000.3.17)


総合目録データベースの品質管理事例集(その5: 図書所蔵編)


本号では,図書の所蔵レコードの好ましい記録の仕方と,誤りがちな点について取り上げます。

この事例集の中では,次のような略称で参照先の資料を示します。

基準3 → 目録情報の基準.第3版
検索編4 → 目録システム利用マニュアル.検索編.第4版
登録編4 → 目録システム利用マニュアル.登録編.第4版
CM → 目録システムコーディングマニュアル
抜刷集 → オンライン・システムニュースレター抜刷集
NL → オンライン・システムニュースレター

1.図書所蔵レコード

(1)複数の出版物理単位からなるレコード

図書の所蔵レコードは,記述の仕方に厳密な規則がないため,様々に記録されている場合があります。記録の仕方によっては,所蔵状況が不明確となり,相互貸借(ILL)業務に支障をきたしてしまうことになります。

所蔵レコードの記録のパターンを見てみましょう。

(書誌レコード)

【所蔵レコードの例 @】

 

事例の解説

A図書館は,所蔵している巻冊次に対して,請求記号(CLN)と登録番号(RGTN)を記録しています。資料の1巻と3巻を所蔵していますが,2巻は所蔵していません。所蔵していない巻冊次に相当するフィールド(VOL)は削除しています。
これが最も適切な記述方法と言えます。

【所蔵レコードの例 A】

事例の解説

B図書館は,所蔵している巻冊次に対して,請求記号(CLN)と登録番号(RGTN)を記録しています。資料の1巻と3巻を所蔵していますが,2巻は所蔵していません。
この記述方法は,後に2巻を受け,所蔵レコードを修正する時に,目録担当者にとっては都合の良い方法とも言えます。
しかし,例えば相互貸借業務で2巻を所蔵している図書館だけを検索しようとしても,Aのレコードもヒットしてしまうため,依頼館は1つ1つ所蔵レコードを詳細表示して確認しなければなりません。

 

【所蔵レコードの例 B】

 

  

【所蔵レコードの例 C】

   

事例の解説

C図書館とD図書館は,VOLフィールド以外に所蔵状況に関して具体的に記述していません。もちろん,請求記号(CLN)や登録番号(RGTN)等の記述は必須ではありません。所蔵レコードをどのように記録するかは,各図書館の判断に委ねられています。
しかし,例えばBでは,所蔵していない巻冊次の巻冊次等に関するフィールド(VOL)が削除されていることで,資料の1巻と3巻を所蔵していて2巻は所蔵していないと推測できますが,Cは,1巻から3巻まですべてを所蔵していると考えてよいのか,不明です。
相互貸借業務で依頼したものの,実際には求める巻冊次を所蔵していなかった,ということになると,所蔵を確認する自館も,他の図書館に依頼する依頼館も,余計な手間がかかることになります。
所蔵レコードに,存在しない情報(所蔵していないVOLフィールド)を記述しないようにお願いします。

(2)親書誌レコードと子書誌レコード

階層があるものに,所蔵レコードを誤って登録している場合があるため,所蔵レコードの作成単位についてまとめておきます。 

@通常の書誌構造

(親書誌レコード)                      (子書誌レコード)

 

【所蔵レコードの例 】

事例の解説

所蔵レコードは,親書誌レコードにまとめて登録するのではなく,各子書誌レコードにそれぞれ登録します。

関連規則及び関連事例

・図書所蔵レコードの作成単位

−図書書誌レコードが書誌構造を有する場合,図書所蔵レコードは,原則として,単行書誌単位のレコード(子書誌レコード)に対応して作成する。 (→ 基準4 5.2.2)

−記述対象資料の所蔵状況の記録は, 原則として, 単行書誌単位のレベルで行う。 (→ 基準4 4.3.4)

Aバランスしない書誌構造

(親書誌レコード)                      (子書誌レコード)

   

【所蔵レコードの例 】

   

事例の解説

「索引」は固有のタイトルではないため,親書誌レコードにVOLを記述するというバランスしない書誌構造となっています。この場合,固有のタイトルを有するものは子書誌レコードにそれぞれ所蔵レコードを登録し,固有のタイトルではないものは親書誌レコードに所蔵レコードを登録します。

関連規則及び関連事例   ・図書所蔵レコードの作成単位

−記述対象資料の所蔵状況の記録は, 原則として, 単行書誌単位のレベルで行う。
ただし, バランスしない書誌構造においては, 親書誌レコードに対して所蔵リンクを形成することがある。(→ 基準4 4.3.4)

 
・バランスしない書誌構造

−「バランスしない書誌構造」とは, 集合書誌単位を構成する個々の出版物理単位が, 同一の書誌階層に並ばないことをいう。
  固有のタイトルを有するものについては子書誌レコードを作成し, そうでないものについては親書誌レコードに記録する(親書誌レコードのVOLの繰り返しで表現する)。
 なお, 所蔵レコードは, 対応する書誌レコードとリンクを形成する。 (→ 基準4 4.3.1)  
B重複レコード

(親書誌レコード)              (子書誌レコード)

 

事例の解説

これは重複レコードであるため,学術情報センターで調整することになります。

各巻のタイトル(この場合「街道と市」)が規定の情報源に記されていれば右のレコードのように子書誌レコードとして記録され,そうではなく,例えば目次にのみ各巻のタイトルが記述されている場合などは左のレコードのようにVOLの繰り返しで記録されるべきものです。所蔵レコードは,規定の情報源に固有のタイトルがあるかどうかを判断して,正しい方に登録してください。

【規定の情報源に固有のタイトルがない場合】

(書誌レコード)                      (所蔵レコード)

   

【規定の情報源に固有のタイトルがある場合】

(書誌レコード)                      (所蔵レコード)

(図書目録情報係)