NACSIS-CAT/ILLニュースレター40号 (2015.3.27)


   ♦ 受講者一覧

テーマ

成果物タイトル

受講者

1

利用者の
行動観察

学生の論文本文入手行動における障害とガイダンスの設計について : 行動観察実験結果より

伊勢幸恵(千葉大学)
澤木恵(東京海洋大学)
中山昌也(東京大学)

2

利用ログの
分析

よりよい文献探索法の提案を目指した学術情報データベースのログ解析

亀ア有紀子(福岡大学)

渡邊伸彦(京都大学)

   ♦ 各班成果報告レポート

1班 学生の論文本文入手行動における障害とガイダンスの設計について : 行動観察実験結果より
  インターネットの発達による学術情報資源の増加や,大学教育改革によるアクティブ・ラーニングへの転換は,大学図書館による学修支援の必要性をますます高めています。そこで,私たち1班は,大学図書館が学修支援として行っている図書館ガイダンスが,ユーザー,特に学生の目線で設計されているか検証することを目的として調査を行いました。これは,学修支援を効果的に行うには,ユーザーである学生の行動・視点を理解することが重要であると考えたためです。
  本調査では,まず,学生の論文入手行動における障害を明らかにする行動観察実験を行いました。次に実験結果を用いて,図書館職員がその障害を認識しているか,それがガイダンスに活かされているか検証を行いました。実験会場は,東京大学駒場図書館(実験期間:2014/9/9〜9/11)と千葉大学附属図書館(同:2014/10/30〜10/31)の2館とし,被験者は各大学の学部2年生4名とそこに所属する図書館職員5名の計18名としました。
  実験は,被験者の属性を知るための事前アンケート,論文本文を入手する課題の遂行およびインタビューを組み合わせて行い,実験データとして,被験者の行動や発言等を録画・録音したものを収集しました。分析は,収集データと,実験館ごとに作成した行動モデル・各館での学部1年生向けガイダンスの台本や配布資料等とを比較することで行いました。
実験の結果,どちらの大学においても,学生が論文を入手する過程で,掲載誌の配架場所がわからないなどの障害,すなわち「つまずくポイント」があり,論文を入手できない場合がありました。学生のつまずくポイントの中には,図書館職員には認識されておらず,実際のガイダンスでもサポートされていないものがあることもわかりました。また,論文を探す課題は2年生には難しいと感じられることや,ガイダンスを1年次に1度受けただけではその知識が定着していないことも判明しました。これらの結果から,今回の調査で分析対象としたガイダンスについては,ユーザーである学生の目線に立った設計が不十分な部分があり,改善の余地があることが確認されました。
  一方,図書館職員は,学生のつまずくポイントを概ね認識していることや,学生が図書館内で実際に論文を探した経験がある場合には,論文にたどり着く確率があがっていることなどもわかりました。
  以上の結果から,ユーザーである学生の目線に立ったガイダンスの設計には,学生のつまずきを予測した図書館職員の視点を取り入れること,ガイダンスの知識が定着するよう複数回数開催すること,実際に論文を探させるなどの体験型ガイダンスを行うことが望ましいと考えられます。




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